まず、カトリック信徒の移動と類縁関係の発動というテーマに関して、均分相続慣習の存在および存続が関係したことが判明した。また、長崎市外海地区の出津小教区等の洗礼者数から、恒常的に高い出生数が明らかになったものの、各集落の人口(信徒数)が一定数に維持されていた状況から、他出によって人口の維持を図るという地域維持の社会技術がうかがえた。 次に、カトリック・コミュニティの形成と多様な展開というテーマに関して、都市化・工業化の進展とともに地域状況が大きく変容した開拓移住等の小教区では、都市化に伴う職業の多様化に加えて、信徒の比率の低下と宗教コミュニティの類型の変化が明らかになった。
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