研究課題/領域番号 |
24530644
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海学園大学 |
研究代表者 |
本田 宏 北海学園大学, 法学部, 教授 (60316239)
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研究分担者 |
水溜 真由美 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (00344531)
川村 雅則 北海学園大学, 経済学部, 准教授 (40364228)
越田 清和 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (40626488)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 社会運動 |
研究概要 |
本田は、6月に比較政治学会(日本大学)、8月の北海道自治研究所(札幌)、および9月の経済社会学会(北海道大学)にて、ドイツの労働組合と原発問題の関わりについて研究発表を行い、11月には北海道生活クラブ生協の憲法講座で脱原発デモに関する講演を行った。また7月にはドイツ学会で脱原子力の運動と労組、および政党政治の関係について日独を比較する研究発表を行った。その発表内容に基づく論文は同学会の学会誌に掲載予定である。さらに3月には、ドイツのベルリン自由大学での「脱原発の日独比較」に関するワークショップで日本政治の対立軸と反原発運動について発表した(上記の発表はいずれも招待講演)。越田は、アジアへの原発輸出問題について、東京で資料収集や関係者への聞き取りを行ったほか、8月には台湾の原発反対運動の参加者を招待し、講演会を実施した。さらに11月には基地問題に詳しい関係者を沖縄から呼んで講演会を開いた。川村は、労働NPOとして旺盛な活動が注目を集めるPOSSEの関係者を7月に招き講演会を開催した。また、公契約条例の制定運動について、札幌市の事例を中心に継続的な調査を行った。水溜は、ウーマン・リブ以後の日本のフェミニズム運動とアジアとの関わりについて資料調査を行った。またこのテーマについて2本の論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本田は、ドイツと日本の労働組合と原発問題への関わりについて研究発表を重ねた上で、3本の論文にまとめることができた。越田は、南北問題というグローバルな差別構造の中での原発の海外輸出問題や、開発・経済成長を問い直す(先住民族を含めた)社会運動・NGOについて調査していたが、残念ながら2月、がんのため逝去した。越田の研究課題は研究代表者および新たに加わる分担者が引き継ぐ。川村は公契約運動に関連して、指定管理者施設で働く人たちの調査を行い、成果をまとめた。水溜はウーマン・リブ以後の日本のフェミニズム運動とアジアとの関わりについて、中心的な役割を果たしたアジアの女たちの会に関して、活動の概要、背景、意義について研究成果をまとめることができた。越田の逝去は大きな打撃であるが、他の3人はすでに成果を学会で報告し、逐次論文として発表しており(刊行は年度をまたぐものあり)、順調に研究は進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本田は、ドイツで原発問題をめぐって再三設置されてきた様々な政策対話の試みや、電力会社や原子力企業などの企業活動の問題、社会運動の活動を規定する政治構造について研究を行う。清末は越田の問題意識を引き継ぎながら、被曝労働における差別構造や法的問題、劣化ウラン弾の問題、国内の差別構造の中での住民運動について調べる。川村は、公契約条例が制定された自治体の経験をまとめる。水溜は、さしあたり今年度は1950年代における核エネルギーをめぐる言説について文学作品を中心に研究を進める。当面は堀田善衛『審判』を手がかりとする。それぞれの分担者は各分担課題を追求し、逐次研究発表・論文執筆、及び市民向け講演会を行うが、各分担課題のポテンシャルはかなり拡大することが予想されてきたので、全分担者の共著の本の具体化を待つのではなく(これは最終年度での判断になるが)、本として刊行できる機会が生じた場合には随時、分担者の判断で進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
本田は、ドイツで原発問題をめぐって再三設置されてきた様々な政策対話の試みについて調査するため、資料を収集する。また『脱原発の比較政治』と題して来年春刊行予定の共著の編者として、執筆者・編集者との編集会議に出張する。必要に応じて関係者への聞き取りや研究発表のため、日本国内やドイツへの出張を行う。新たに分担者として加わる清末は、上関原発建設計画に対する祝島住民の反対運動に関する調査費用、および原発での被曝労働問題や劣化ウラン弾の使用問題に関する法的分析を行うための費用として用いる。川村は、公契約条例が制定された7自治体及び運動が進んでいる自治体を中心に調査のため出張する。水溜は、主として資料の収集・閲覧のため研究費を使用する。
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