(1)写真は、歴史保存活動のなかで、「歴史的価値を持った被写体を記録した透明な表象」から「写真自体が歴史的な価値を持つ史料」へとその社会的意味を変化させたということを明らかにした。(2)写真というメディアの社会的なありようと過去を回顧する社会的想像力という社会文化史的な文脈が、写真に歴史的価値を付与することを明らかにした。(3)今日の集合的記憶の議論の前提となっている「集合的な記憶の場としての映像アーカイヴ」という認識の歴史性を明らかにした。(4)歴史研究において、写真を、歴史記述のための資料としてだけではなく、「方法」として用いる可能性を示した。
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