研究課題/領域番号 |
24530652
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
鹿又 伸夫 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (30204598)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 社会階層 / 格差 / ライフコース / 結婚 / 家族 / 貧困 |
研究概要 |
平成24年度は、「結婚および配偶者の階層的地位」と男女「本人の就業所得」との関連についての研究成果を公表した。その成果として得られた知見は、第1に、本人の学歴や就業要因を考慮しても、男性では有配偶者の就業所得が無配偶者よりも高い結婚プレミアム、女性では有配偶者の所得が無配偶者よりも低い結婚ペナルティが確認されたことだった。第2に、個人の就業所得にたいする結婚と配偶者地位による影響は、親世代の地位の影響よりも大きかった。第3に、結婚プレミアムと結婚ペナルティの大きさは、配偶者の階層的地位と関連していた。その関連は、男性では妻が高学歴であるほど、そして妻の就業所得が高いほど結婚プレミアムが大きかった。他方の女性では、こ夫の就業所得が高いほど、本人の所得を高めて結婚ペナルティを軽減していた。これらの知見は、階層的地位と稼得力にもとづく階層的な配偶者選択の重要性をしめすものだった。 上記の成果は、個人の享受する経済的豊かさが、世代間の階層的影響よりも、ライフコースの中の結婚に左右されることを示唆していた。そのため次の検討課題として、世帯所得および貧困リスクにたいする婚姻状況と家族構成の影響について研究を進めた。試行的な段階だがその知見は、第1にとくに貧困リスクが高いのは50歳代後半以上の未婚を継続する男性と単独世帯居住の女性、そして20,30歳代のひとり親世帯の女性であること、第2に貧困リスクにたいする家族構成の影響が男性より女性で大きく、とくに20,30歳代の女性で家族構成による貧困リスクの格差がきわめて大きいことなどが得られている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は1件の雑誌論文と2件の学会報告を公表できた。また、連携研究者などとの研究会を2回開催し、相互の研究成果や研究情報の交流を行うことができ、研究の進捗を促進し、研究成果の質的向上に役立った。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、平成24年度に引き続いて「貧困リスクにたいする婚姻状況と家族構成の影響」について研究をまとめ、学会誌に投稿する。また、結婚プレミアムと結婚ペナルティ、そして貧困リスクにたいする婚姻状況と家族構成の影響を作りだすメカニズムとして、「階層的な配偶者選択による結婚行動」を取りあげ、その分析を進める。 さらに平成26年度には、地位達成のライフコースにともなう変遷をとりあげ、これと階層的な配偶者選択、結婚プレミアムと結婚ペナルティ、貧困リスクなどとの関連をテーマとして研究する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|