ライフコース・イベントとしての結婚によって生じる格差、つまり婚姻状況による経済的格差である結婚プレミアムおよび結婚ペナルティが、個人所得だけでなく世帯所得にもみられること、そしてこの経済的格差が学歴や職業という階層的地位にもとづく配偶者選択によって発生している可能性がきわめて強いことを明らかにした。これらについては、学会で発表した。 また結婚と経済格差は貧困リスクという形でも現れており、就業職業が貧困リスクをもたらす主要因ではあるが、それに次いで結婚と家族形成というライフコース要因(婚姻状況と家族形態)が無視できない要因であることを明らかにした。その分析結果は、若年未婚女性、若年でひとり親である女性、高齢無配偶の単身居住男性などの貧困リスクがきわめて高いものであった。この成果は家族社会学会の学会誌に投稿した。 他方で、進学というライフコース・イベントを取り上げ、進学格差を発生させる要因について、階層論での各種理論的説明を比較検証した。その結果、文化資本論と相対的リスク回避説よりも地位達成モデルの方がデータ分析結果に適合するが、高校の進学準備コースが合格難易度の高い大学への進学を促進するトラッキング現象が顕著であることを実証した。この成果は著作として発表した。
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