研究課題/領域番号 |
24530655
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
鐘ケ江 晴彦 専修大学, 文学部, 教授 (20129919)
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研究分担者 |
服部 あさこ 専修大学, 文学部, 兼任講師 (10424318)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 沖縄・辺野古 / 基地建設反対運動 / 住民意識 / ライフヒストリー |
研究概要 |
本研究は、1)辺野古の新基地建設反対運動の、周辺住民および名護市民の意識と政治的イッシューへの影響を実証的に明らかにする。2)中心的ではない運動参加者にとって、運動への参加が各人の生活史の中にどのように位置づいているのかを明らかにする。3)辺野古の新基地建設反対運動の社会運動論的把握、それを踏まえての社会運動論の再検討を行う、を目的にしている。 本年度は、1)を中心に調査研究を行い、平成24年11月に20歳~89歳の名護市民2800人を対象とする、辺野古新基地建設を中心とする名護市の地域についての意識を問う郵送法によるアンケート調査を実施した。対象者のサンプリングは、名護市の協力を得て、同市の個人情報保護審査会での厳重な審査を経た後に、同市の住民基本台帳よりランダムサンプリングしてもらった。サンプリングに当たっては、辺野古を中心とする東海岸の久志地区の住民と名護市民の大部分が居住する西海岸地域の住民の比較を行うため、久志地区は他地区の約2.4倍の抽出比率となる450サンプルを抽出した。このアンケート調査調査は793(久志地区130,久志地区以外663)を回収市、宛先不明等で戻ってきた無効サンプルを除く回収率は28.8%(久志地区30.2%,久志地区以外28.7%)であり、住民に知られていない研究者による郵送調査としてはかなり高率で、意義あるものであった。調査結果は、平成25年1月にデータ入力、2~3月にSPSSによる集計を行った。 調査目的の2)に関しては、研究代表者が平成24年4月~5月、同8月、同12月、平成25年3月に名護市に出張し、中心的ではない運動参加者へのライフヒストリーインタビューと辺野古新基地建設運動の参与観察調査を実施した。 調査目的の3)に関しては、研究代表者と分担研究者で、文献研究を中心とする研究会を計5回実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的1)を達成するために、平成24年9月に名護市民を対象とするアンケート調査(約3,000サンプル、郵送法)を実施し、同年中に集計を終え、年度中に分析し、まとめるという研究目的・平成24年度の研究計画については、名護市個人情報保護審査会の審査に予想以上時間がかかっためアンケート調査が11月にずれ込み、対象者から回収率や回答の信頼性について懸念のある90歳以上の市民を覗いたためサンプル数もやや減少させたが、予想以上の回答数を確保することができ、多変量解析を中心とする集計ができ、大きな成果を挙げられた。 研究目的2)については、名護市への出張に際して、名護市個人情報保護審査会への追加資料提出を含む対象者のサンプリングについての市担当者との打ち合わせ、名護市の地域問題についての市会議員や市幹部職員へのヒアリングに時間が取られたため、予定の人数実施できなかったが、内容の濃いライフヒストリーインタビューと辺野古新基地建設反対運動の参与観察調査が実施できた。 研究目的2)についても、調査票の作成、集計・分析方法の検討に時間が取られたため、予定ほど進まなかったが、今後の研究の目処は付けることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成24年度に実施したアンケート調査報告書を執筆して平成25年6月中を目標に刊行して関係者や調査対象者で入手を希望した方々に送付すること、調査結果から得られた知見を平成25年中に学会報告すると共に、ホームページを立ち上げて、そこにアップすることにより広く公表する予定である。 また、研究目的の2)である、中心的ではない運動参加者にとって運動への参加が各人の生活史の中にどのように位置づいているのかを明らかにするために、平成25年度は延6回、平成27年度は延4回名護市に出張し、辺野古新基地建設反対運動の参与観察調査と運動参加者のライフヒストリーインタビューを実施する。 研究目的の3)である、辺野古の新基地建設反対運動の社会運動論的把握、それを踏まえての社会運動論の再検討を行うために、平成25年・度26年度共、月1回のペースで研究会を実施し、特に平成26年度には外部の社会運動論専門家にも参加してもらう。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に使用する研究費が生じたのは、名護市民を対象とするアンケート調査の対象者サンプリングについて名護市の協力を得ることができ、当初予定していた選挙人名簿からのサンプリングと対象者の住所氏名の筆記、対象者名簿のデータ入力のアルバイト謝金、対象者の住所氏名をプリントする宛名シール第が掛からなかったからである。 次年度の研究費の使用計画は、直接経費では、出張旅費87万円、アンケート調査報告書印刷費30万円、アルバイト謝金5万円、消耗品費5万円、通信費(報告書送料等)1万7千円、計128万7千円である。
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