研究課題/領域番号 |
24530656
|
研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
秋吉 美都 専修大学, 人間科学部, 教授 (40384672)
|
研究分担者 |
中村 真由美 富山大学, 経済学部, 准教授 (30401269)
|
キーワード | ジェンダー / 女性 / 幸福度 / 労働 / 結婚 / ワークライフ・バランス / 社会階層 / 日本 |
研究概要 |
本研究計画の目的は、女性のワークライフ・バランスの実現と、幸福度の関係を理解することである。25年度は計画の2年目にあたり、目標は、既存データの二次分析、量的・質的データの収集および分析であった。研究はおおむね順調に推移し、データ収集およびその整理を完了している。質的データとして、インフォーマルな探索的インタビューを蓄積し、量的データは、インターネットを用いて約2000人を対象のアンケート調査を実施した。また、独自データの収集を進めるとともに、既存データの分析を行った。論文や学会報告などの主な成果は下記のとおりである。仕事と家庭生活の複雑な関係を理解するために、本計画では回帰分析など、従来から広く用いられている諸方法に加えて、近年発展しつつあるファジー・セット質的比較分析の方法も応用してデータを分析している。主な知見として、ワークライフ・バランスに幸福度を高める強い効果は認められないことが挙げられる。むしろ、幸福度を被説明変数とした際に、既婚であることと子がいることの組み合わせ(質的比較分析で「コンフィギュレーション」を呼ばれる条件の組み合わせ)が一定の説明力を持つことが認められた。より詳細な理解は今後の課題となる。 Nakamura, Mayumi. 2014. “Legal Reform, Law Firms, and Lawyer Stratification in Japan.” Asian Journal of Law and Society. 1(1) (in press.) (査読あり) Akiyoshi, Mito. 2014. "Recipes for Happiness: A Fuzzy-set Qualitative Comparative Analysis of Causal Conditions" American Sociological Association Annual Meeting.(査読あり)
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度の目標としていた、データ収集が完了したため、達成度はおおむね順調に進展していると判断する。 また、成果に関しても、国際学会での報告などが行われたため、進捗については計画どおりということができる。 一方で、ウェブサイトなどを通じた一般市民向けの情報発信や、データの預託は、データ分析途中であり、またインターネット調査に25年度予算の多くを用いたため、現段階では実現していない。26年度に実施することを検討する。
|
今後の研究の推進方策 |
25年度にデータ収集が実施されたことを受けて、26年度は分析および成果報告が主な活動となる。 26年度前半は、量的データの統計的な分析を進めるためのクリーニング作業や予備的な分析、コードブックの整備を進める。また量的データと質的なデータとの照合を行い、すでに設定している仮説や分析方針の見直しを行う。 26年度後半は、成果報告に力を入れる。主な活動は論文執筆および学会報告である。専門家向けの成果報告に加えて、一般向けの情報公開のために、ウェブサイトの整備を進める。
|
次年度の研究費の使用計画 |
インターネットを用いた調査は、専用のシステムが必要となるため、データ収集作業の一部を調査会社に委託した。 調査会社より提示された請求金額が見込より20,000円低かったため、残額が生じた。 残額はすべて翌年の学会報告旅費として使用する予定である。
|