研究課題/領域番号 |
24530657
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
河合 優子 立教大学, 異文化コミュニケーション学部, 准教授 (80384874)
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研究分担者 |
原 知章 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (00287947)
鳥越 千絵 西南学院大学, 文学部, 講師 (00599178)
田中 東子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 講師 (40339619)
渡会 環 愛知県立大学, 外国語学部, 講師 (50584372)
川端 浩平 関西学院大学, 先端社会研究所, 研究員 (80563965)
高 みか 立教大学, 異文化コミュニケーション学部, 助教 (00637465)
山本 敦久 成城大学, 社会イノベーション学部, 准教授 (00453605)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 多文化社会 / アイデンティティ |
研究概要 |
24年度は、主に関連概の理論的検討と当事者による文化表現の調査と検討を行い、本格的な定例研究会を9月、10月、11月、1月、3月に実施するなかで、聞き取り調査に入る前段階として本研究の理論的基盤を固めることができた。 9月は「映像と多文化社会」というテーマで、日系の研究者Ayako Takamori氏に来てもらい、彼女が制作したドキュメンタリー『Portraits of Tomoyo』を検討したほか、本研究の分担研究者の一人である静岡大学の原知章氏の人類学とメディア研究の接点についての論文を検討した。10月は「日常性と多文化社会」をテーマに、日系ブラジル人監督が定住する在日ブラジル人の若者のアイデンティティを捉えたドキュメンタリー『ペルマネンシア・この国にとどまって』を検討したほか、Michael Billigの「ありふれたナショナリズム」とUlrich Beckの「ありふれたコスモポリタニズム」についての文献研究を行った。11月は「交錯と多文化社会」をテーマに、生後まもなく韓国からデンマークに養子として渡った韓国系デンマーク人監督のドキュメンタリー『女と孤児と虎』を検討し、文献はRay ChowおよびFloya Anthiasの論文を検討した。1月は「対話と多文化社会」をテーマに慶応義塾大学の塩原良和氏に来てもらい、その著著『共に生きる』を検討した。3月は本研究の理論的方向性、研究会参加メンバーの具体的な研究テーマと聞き取り調査の方向性についての議論を行った。 加えて、6月22-23日には、韓国の延世大学において、”Multicultural questions in East Asia”というテーマで韓国・台湾の研究者と合同研究会を開催し、それぞれの地域における「多文化主義」の歴史と現状、多様な文化背景を持つ人々のアイデンティティについての理解を深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では24年度中にすでに聞き取り調査を開始する予定であったが、全体の理論的方向性を定めることなしには、聞き取り調査の方向性を明確にすることができないため、24年度は本研究の理論的基盤を固めることに集中した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、「日本人」と「それ以外」という二項対立的な見方を超え、日本に定住もしくは永住している多様な差異を持つ市民を「日本社会を構成する市民」として捉え、その多元的なアイデンティティのあり方を探ることを目的としている。24年度に理論的研究を行う中で、「交錯intersectionality」を中心的な理論的枠組みとすることでそれが可能になるのではないかということになった。当初の研究計画では、統一の質問項目で聞き取り調査を実施し、データを一元化することを考えていたが、それでは多様な「交錯」を捉えきれない。本研究に参加する研究者は関東、関西、中部、九州から集まっており、それぞれの地域で聞き取り調査を実施するため、地域の多様性を活かしつつ、各研究者が焦点を当てる「交錯」に適切な質問項目でもって聞き取り調査を行うこととしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度からは本格的に聞き取り調査に取り組む。聞き取り調査関連の予算の割合が高く、24年度中に聞き取り調査を開始することができなかったため、研究費を予定通りに執行できなかった。25年度は定例研究会で理論および文化表現(メディアなど)の検討を深めつつ、同時に聞き取り調査の経過報告を研究参加者にしてもらう予定である。
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