家族が個人化した現代社会で、家族の永続を前提とする「家」システムによって成り立ってきた伝統的な先祖祭祀がどのように変容したか、継承者を必要としない「桜葬」墓地申込者の実態調査からそのダイナミズムを分析した。その結果、これまで非継承墓は子どもがいない夫婦や単身者が申し込むと考えられてきたが、子どもがいる人が7割以上と多数であることがわかった。「自然に還りたい」という申込理由のほか「墓の継承は子どもに負担がかかるので自分の代で終わりにしたい」などの理由が多く、子どもがいるのに第3者に死後のサポートを託す人々の実態が浮き彫りになり、家族の個人化や葬送儀礼の社会化の実態が明らかになった。
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