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2012 年度 実施状況報告書

水俣病闘争を事例とした社会運動ユニオニズムの歴史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24530660
研究種目

基盤研究(C)

研究機関法政大学

研究代表者

鈴木 玲  法政大学, 大原社会問題研究所, 教授 (20318611)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード労働運動 / 社会運動 / 公害問題
研究概要

平成24年度は、アーカイブズ調査、文献調査、および聞き取りを行った。
アーカイブズ調査については、熊本学園水俣学研究センター所蔵の資料のうち、新日本窒素労組(第一組合)、チッソ水俣新労働組合(第二組合)の機関紙、ビラ、その他の刊行物を収集した。また、会社広報や水俣市史等の関連情報も収集した。収集資料の体系的整理については、新日本窒素労組機関紙『さいれん』の復刻版を利用して1968年8月~1973年8月の期間の記事や関連ビラのうち、水俣病関連の記事約260件の記事のタイトルおよび概要の記録をした。
文献調査については、理論枠組みの把握のため、労働運動と環境運動の関連性について分析した国内外の文献・論文を収集・調査した。また、新日本窒素労組と水俣病患者運動を当時の公害反対運動全般の文脈に位置づけるため、日本の労働運動・労働組合、社会運動分野の雑誌(一般雑誌、学術雑誌)で労働組合の公害問題の取り組みに関する記事を収集・調査した。
聞き取りについては、2012年11月9日に元新日窒労組委員長の山下善寛氏に聞き取りを行い、聞き取りをテープに起こし、山下氏のチェックを受けた。次の新日窒労組の元役員の聞き取りについては、石田博文氏を予定している。また、水俣学研究センター主催の「チッソ労働運動研究会」(2012年4月、11月)や「第2回 水俣学若手研究セミナー」(2012年9月)に参加し、元組合活動家や役員のグループヒアリング、および患者運動のリーダー(大石利生氏)の聞き取りも行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでのアーカイブズ調査、文献調査で、チッソの労働組合(第一組合、第二組合)に関する資料を集め、とくに新日本窒素労組(第一組合)が水俣病にどのような形で取り組んでいるのか、患者団体や支援団体とどのような関係をもったのか、経営側とどのような関係をもったのかついて分析を進めた。
また、文献調査によって、公害発生企業の労働組合はほとんど会社側の立場につき、雇用を守る立場から、公害反対運動に対して距離をおくか、敵対する場合が多いことがわかった。すなわち、新日本窒素労組の水俣病問題に取り組み、患者団体や支援団体との協力関係は、60年代末~70年代はじめにかけての日本の労働運動・社会運動の状況のなかで特異な位置を占めている。
聞き取り(ヒアリング)を通して、対象者のライフヒストリー、当時の組合員の水俣病問題の認識、企業内労使関係の状況、組合の患者支援の具体的な事例等について知見を得ることができた。

今後の研究の推進方策

アーカイブズ調査では、患者支援団体(水俣病対策市民会議、告発する会)の資料を収集・分析する。また、チッソ水俣新労働組合(第二組合)の資料の収集を続け、水俣病問題では会社側に立ったとされる第二組合が患者団体・患者支援団体にとった態度や第一組合との対立関係の分析を今後行っていく。
文献調査では、労働組合の公害問題への取り組みにおける、新日本窒素労組と他の公害発生企業労組の比較、新日本窒素労組の水俣病への取り組みが他の労働組合や社会運動に及ぼした影響、新日本窒素労組が水俣病問題に正面から取り組むことができた理由等の課題について検討していく。
また、新日本窒素労組の組合役員・活動家だけでなく患者団体や支援団体にかかわった人への聞き取りも行う。

次年度の研究費の使用計画

校務のため、2013年2月に熊本学園大学水俣学研究センターが主催したチッソ労働運動史研究会に参加し、追加の聞き取りを行うことができなかったため、次年度使用額が生じた。
25年度の使用計画は以下の通りである。
1.新日本窒素労組組合機関紙『さいれん』復刻版第4回配本の購入
2.新日本窒素労組の組合役員・活動家、患者団体や支援団体にかかわった人への聞き取り、アーカイブズ調査のため水俣および熊本に5回程度出張する交通費と宿泊代
3.聞き取りのテープ起こしの費用、通信費、複写費

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公開日: 2014-07-24  

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