2014年は機械金属業受け入れの技能実習生を対象に調査を実施した。調査対象地域は長野県上田市である。上田市は従来まで、日系人の集住地域として有名である。ここを対象地域として、第1に、日系人と技能実習生の外国人労働力類型比較、第2に縫製業と機械金属業の技能実習生における産業別労働力類型の比較、の2点を今年度調査の目的とした。明らかになった点は以下の通りである。 ① リーマンショック後に解雇された日系人のうち、上田地区にそのままとどまったのはわずかであり、多くは帰国するか、より雇用機会の豊富な群馬県大泉町などへ移住して、日系人の雇用者数は激減した。これまでのように、日系人が外国人労働者の中心とみなすことは、不適切のようだ。② それに代わって、従来の日系人に代わって技能実習生による代替が可能であったとは必ずしも言えない。技能実習生は、雇用期間、雇用可能職種に大幅な制限があるからである。③ 現在雇用されている日系人は、既に定住化した人が中心であり、従来のような短期出稼ぎ型は少なくなっている。また日本人の配偶者の地位を持つ外国人女性も増加し、この2種類の外国人労働者が製造業現場で雇用されている。 ④ 機械金属業で雇用される技能実習生は、技能レベルが低いために現場の周辺作業を担っている。他方、2012年、2013年に調査した縫製業の技能実習生は、縫製業の要求する技能レベルを比較的短期間で修得可能なため、現場では中心作業を担っている。 ⑤ 機械金属業では、外国人技術者の雇用は少数であり、また彼らは、日本への元留学生あるいは海外現地採用者であった。今後の日本の技術者不足を考えると、高度外国人材への需要が高まっていること、特に地方の中堅企業でのニーズが高いことが、本研究の開始時には予想しなかった点であり、今後の研究が必要であることが分かった。
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