本研究は、環境汚染問題の解決過程についての事例比較を行い、国際比較への布石をめざすものである。公害の解決には、補償救済のほかに予防措置など多方面での対応が求められることもあり、問題の切り捨てや被害の放置などが生じやすい。解決に向けた諸活動とそれにたいする反動的な動きとの葛藤の過程とその結果にはどのような共通性があるのか、イタイイタイ病や福島原発事故など日本の事例とボパール事件など外国の事例を調査した。 調査結果からは、問題の放置には構造的な要因が作用すること、他方、それに対抗する運動の継続が独特の成果を生みだし、他国を含めた他の事例の問題解決に寄与し得ること、などが明らかになった。
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