研究課題/領域番号 |
24530668
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
岩間 暁子 立教大学, 社会学部, 教授 (30298088)
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研究分担者 |
挽地 康彦 和光大学, 現代人間学部, 准教授 (30460041)
劉 孝鐘 和光大学, 現代人間学部, 教授 (80230605)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ナショナル・マイノリティ / 少数民族 / 外国人 / 結婚移住 / 多文化家族 / 韓国 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
3年目となる2014年度は、これまでの成果のとりまとめと成果を国際的に発信すること、具体的には、1)「マイノリティ」「弱者」「移民」の概念間の関連の整理と保護政策の類型化、2)「マイノリティ」「弱者」「移民」の社会的包摂に向けた政策の方向性の提示、3)成果の発表という3つの課題を掲げていたが、計画通りに進めることができた(第一課題、第二課題の内容については、後述する「現在までの達成状況」を参照のこと)。 2014年7月にパシフィコ横浜で開催された国際社会学会主催の第18回世界社会学会議(International Sociological Association, XVIII World Congress of Sociology)での報告、本科研と韓国済州大学在日済州人センターが共同開催した国際セミナー「マイノリティと移民」(2014年10月、済州大学在日済州人センター)を企画するとともに、2本の報告をおこなった。また、この国際セミナーで報告した2本の報告は、韓国語の論文としてそれぞれまとめられ、2014年12月に在日済州人センターから刊行された学術書に掲載されたほか、このうち1本は日本語による論文としても発表された。 また、マイノリティと移民の社会的包摂に向けた政策の方向性を検討する一環として、2014年11月に韓国の移民史博物館の成立の経緯および多文化家族支援策について現地でそれぞれの関係機関でヒアリング調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2014年度は、1)「マイノリティ」「弱者」「移民」の概念間の関連の整理と保護政策の類型化、2)「マイノリティ」「弱者」「移民」の社会的包摂に向けた政策の方向性の提示、3)成果の発表という3つの課題を掲げていたが、いずれも計画通り成果を上げることができた。 第一課題に関わっては、(1)国連や国際人権法で一般的に理解されている「マイノリティ」とは、当該国家のなかで多数派とは異なるナショナル、エスニック、宗教的、言語的少数者を指し、他の「弱者」一般とは異なり、それぞれの集団が有する言語や文化、アイデンティティを維持・継承・発展させる固有の権利をもつこと、(2)この意味での「マイノリティ」のなかでも、とりわけ第一次世界大戦以降のヨーロッパにおいてもっとも重要な存在として考えられるようになった「ナショナル・マイノリティ」には、1990年代半ば以降、欧州評議会を中心に「移民」を含む「エスニック・マイノリティ」よりも権利面で高いプライオリティが与えられてきたことなどを明らかにした。 第二課題に関わっては、結婚移民や外国人の包摂策を2000年代後半以降、急速に整備している韓国でヒアリング調査を実施するとともに、専門家との意見交換をおこない、包摂策のありようを検討した。 これらによって得られた成果は、2014年7月にパシフィコ横浜で開催された国際社会学会主催の第18回世界社会学会議(International Sociological Association, XVIII World Congress of Sociology)および2014年10月に本科研と韓国済州大学在日済州人センターが共同開催の形で済州大学在日済州人センターで開催した国際セミナー「マイノリティと移民」において、それぞれ1本と2本の報告をおこなったほか、論文3本(日本語1本、韓国語2本)としても発表した。
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今後の研究の推進方策 |
2015年度は、2014年11月に韓国で実施したヒアリング調査の際に入手した、近代以降の韓国の移住・移民に関する歴史を記した貴重な資料を検討し、移住・移民の実態を跡付けるとともに、韓国移民史博物館成立の経緯やそこからうがえる移住・移民への思いを中心に日本やデンマークとの比較の視点も入れつつ、分析する。その成果は日本語または英語または韓国語の論文として発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果の発表のために英文校正費を計上していたが、業者との早めの調整により、予定額より費用を抑えることができたため未使用額が生じた。さらに、2014年11月の韓国出張での調査内容も新たに加えることを決めた。
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次年度使用額の使用計画 |
2014年11月に実施した韓国でのヒアリング調査により、移民に関する貴重な資料(非売品)を入手することができたため、未使用額はこれらの資料を分析して成果を発表するための経費に充てることにしたい。
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