研究課題/領域番号 |
24530672
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
花井 みわ 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授 (70578476)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 間島 / 地域社会 / 社会統合 / 朝鮮人教育 / 近代教育 / 社会変容 / 龍井明信高等女学校 / 龍井光明高等女学校 |
研究概要 |
本研究の課題は、満洲国期間島省(現在の中国延辺朝鮮族自治州のほとんどの地域)の学校教育制度がどのような歴史過程を経て形成されたかを間島地域社会の変容と、朝鮮人の近代教育受容の両方向から総合的に明らかにすることである。 今年度、満洲国期以前に間島に多数作られた朝鮮人私立学校について調査研究を実施し、当時の社会状況、学校経営者、教育内容、学校と地域社会との関係について歴史文献資料から再検討と考察を行った。延辺朝鮮族自治州へ行って、満洲国期教育体験者を対象に聞き取り調査を実施し、女子教育体験者からは当時の女子を取り巻く教育環境と女子教育意識に関する聞き取りを行った。 文献資料の分析と教育体験者に対する聞き取り調査から1932年満洲国成立以前に間島にあった朝鮮人私立学校のほとんどは農村部に設立された朝鮮人個人と団体が経営する初等学校であり、これらの私立学校では朝鮮総督府の教育にも中国側の教育にも属さない独自の教育を展開したことが明らかになった。1920年代初頭、間島龍井に朝鮮人団体が経営する中学校2校、日本人個人が経営する中学校2校、キリスト教会経営の学校が2校設立され、間島のみならず満洲、ロシア沿海州、朝鮮半島からも学生が集まり、龍井は朝鮮人移民の核心地であると同時に朝鮮人教育の中心地となったことを明らかにした。女子教育においては、日本人個人経営の龍井光明高等女学校とキリスト教会経営の明信高等女学校があり、両女子中学校は満洲朝鮮人女子教育の先駆けとして女子教育の発展に重要な役割を担ったことが明らかになった。 間島朝鮮人教育の展開過程において、社会の変動に伴い学校経営者、教育内容、学校の制度が移り変わる過程において、日本、或いは西洋が提示する近代的教育を受容する朝鮮人の苦闘と選択のあり方の姿を明らかにしたことにおいて、本課題は重要な意味を持っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
満洲朝鮮人移民関連の文献資料の収集を行い、満洲国期教育体験者に関する聞き取り調査を行った。ただし、中国国内文献資料公開事情のため、一部文献資料の調査が困難な場合があった。
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今後の研究の推進方策 |
基礎資料を幅広く調べ、間島省の教育政策、教育方針、教育制度の成立過程を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外調査を実施する。文献資料の収集を行う。
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