本研究は、東日本大震災の被災地域を事例に長期的な減災サイクルの構築に向けて地域社会が潜在的に抱える課題や復興への課題をみつめ、地域が持続可能な活動を続けられる道筋を明らかにすることを目的にした。震災を経てダメージを受けた<住民生活を支える諸機能>が再編されていく過程は、一方では地域での生活再建を可能にするために行われる住民各層のさまざまな生存戦略の集積であるが、他方では今回の災害を受けて一定の危険認知を踏まえたうえで、何らかの安全性の担保を配慮に入れた今後の地域生活像を鋳造し直す試みでもあり、この意義付けについては長期にわたって形成されてきた地域開発の歴史と関わらせて見ていくことが有効である。
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