• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

EU衰退地区の変容と地域再生政策の影響に関する比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 24530677
研究機関一橋大学

研究代表者

森 千香子  一橋大学, 大学院法学研究科, 准教授 (10410755)

キーワード都市社会学 / EU / 衰退地区 / フランス / 貧困 / エスニシティ / レイシズム
研究概要

研究の2年目である平成25年度は、主に聞き取りによって衰退地区のコミュニティの変容と地域再生政策に関する調査をすすめ、データの整理・分析を行った。
前半は、平成24年度の調査データの整理(聞き取りのテープ起こし、データの分類)と分析作業をおこなった。夏に海外調査を実施する予定であったが、平成24年度に知見として得られたEUレベルの都市政策において重視されている「ソーシャルミックス」概念についての理解を深めるために多くの資料・文献を読み込む必要がでてきたこと、ここまでの研究成果の一部をフランスの学術誌Hommes et migrationsに特集号としてまとめることになり、その編集作業が続いたため、夏の調査準備の時間をとれなかったことから、夏の調査は延期することにして、資料の読解・精査にあたった。その間も海外協力者に調査を依頼し、その結果をスカイプ会議を通じて繰り返し議論し、必要に応じてデータの交換をおこなって共同で分析をすすめた。
夏の調査の代わりに平成26年1月の初めに渡欧し、フランス国立科学研究所(CNRS)にてこれまでの研究成果の発表をするとともに、イギリス、オランダの研究者と打ち合わせの会議をもうけた。そのうえで平成26年夏に予定している最後の長期間の調査の準備について具体的な内容について話しあった。
また平成26年3月には再度渡欧し、パリ政治学院とオックスフォード大学で研究成果を発表した。またパリとロンドンにて合計6件のヒアリングをおこなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度は比較対象の三地区の実態が近年どのように変容し、それがどのようなメカニズムのもとで起きているのかについて、L・ヴァカンらの提唱する Social Insecurity 概念を中心に据えつつ(Wacquant, 2011)、衰退地区の問題を治安だけでなく、雇用、住居、教育、政治、宗教、家族、地域コミュニティなど複数の領域にまたがる「不安定」の帰結として多角的に考察し、複数の困難が特定の都市空間に集積するプロセスと背景についての考察をすすめることができた。夏に予定していた現地調査を延期せざるをえなくなったが、それは成果の一部をフランス学術誌特集号として掲載するという「成果」や文献読み込みと平成25年度のデータの分析、さらに海外協同研究者による調査の実施とデータの共有によって、十分におぎなうことができた。平成26年度もさらに慎重に計画をすすめる。

今後の研究の推進方策

平成26年度は最終年度なのでこれまでの研究の総括を行う。調査結果を整理し、最終的な分析・検討をくわえ、関連領域の専門家と意見交換を行い、年度末にフランスで成果を発表する。夏の追加調査を行った段階で最終的に判断をするが、三ヶ国の比較を行う上で、新たな課題(EUとのつながりを抑える必要性や、同じ国内の異なるサイトでの調査の必要性)が生じてきており、これらの新たな課題を平成26年度で分析の対象に加えて行くのか、それとも今後改めて新たな計画をたちあげてそこでの課題とするのかについて、海外協同研究者とも早急に議論をして判断する。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) 図書 (1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Le Japon, pays d’immigration2013

    • 著者名/発表者名
      Chikako MORI
    • 雑誌名

      Hommes et Migrations

      巻: 1302 ページ: 7-11

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Esquisse d'une sociologie des banlieues au Japon : les cites HLM a forte population etrangere2013

    • 著者名/発表者名
      Chikako MORI
    • 雑誌名

      Hommes et Migrations

      巻: 1302 ページ: 45-56

    • 査読あり
  • [学会発表] Les banlieues, espace sans ecriture ?2014

    • 著者名/発表者名
      Chikako MORI
    • 学会等名
      国際シンポジウム「Banlieue loin des cliches」
    • 発表場所
      オックスフォード大学(イギリス)
    • 年月日
      20140404-20140404
  • [学会発表] Regards croises France-Japon : le Japon contemporain au prisme des interrogations sur le racisme et le traitement des minorites en Europe2014

    • 著者名/発表者名
      Chikako MORI
    • 学会等名
      Centre d'etudes europennes (Sciences-Po/CNRS)
    • 発表場所
      パリ政治学院(フランス)
    • 年月日
      20140402-20140402
  • [学会発表] 新自由主義的政策下における新たな排除の論理-- パリ郊外再開発の事例から2014

    • 著者名/発表者名
      森千香子
    • 学会等名
      いま、どのように排外主義とたたかうか
    • 発表場所
      日仏会館(東京都渋谷区)
    • 年月日
      20140301-20140301
  • [学会発表] EUにおける家事労働の職業化政策と福祉国家の変容ーーーフランスの事例から2014

    • 著者名/発表者名
      森千香子
    • 学会等名
      福祉国家構想研究会
    • 発表場所
      法政大学(東京都千代田区)
    • 年月日
      20140113-20140113
  • [学会発表] Transformation du secteur de l'aide a domicile et condition des femmes sans papiers2014

    • 著者名/発表者名
      Chikako MORI
    • 学会等名
      Seminaire GTM (CNRS)
    • 発表場所
      CNRS (PARIS, FRANCE)
    • 年月日
      20140106-20140106
  • [学会発表] 非正規滞在者移住女性の「正規化」戦略とケア労働―――ヴァルツ通達後の変化を考える2013

    • 著者名/発表者名
      森千香子
    • 学会等名
      Image研究会
    • 発表場所
      一橋大学(東京都国立市)
    • 年月日
      20131214-20131214
  • [学会発表] 郊外の比較社会学ーグローバル化にともなう団地の変容を中心に2013

    • 著者名/発表者名
      森千香子
    • 学会等名
      国際シンポジウム「住宅政策の新たな挑戦―――貧困化、高齢化と移民の社会にどう応えるか」
    • 発表場所
      日仏会館(東京都渋谷区)
    • 年月日
      20130706-20130706
  • [図書] レイシズムと外国人嫌悪2013

    • 著者名/発表者名
      森千香子(共著 駒井洋・小林真生)
    • 総ページ数
      232 (146-158)
    • 出版者
      明石書店
  • [備考] 一橋大学研究者情報

    • URL

      https://hri.ad.hit-u.ac.jp/html/100000108_research_activity_ja.html

  • [備考] TERRA-Chikako MORI

    • URL

      http://www.reseau-terra.eu/auteur596.html

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi