本研究は、パリ郊外クリシー・スー・ボワ、アムステルダムスローテルファールト、ロンドン北ウエストミンスターという異なる歴史的背景をもった三つの都市衰退地区において、2000年代以降にEUの支援を受けてそれぞれの国家がすすめてきた「地域再生」政策の内容を明らかにし、その地域への影響を各地区での現地調査にもとづいて検討した。そして三地区において、程度の差こそあれ、分極化の進行と都市中心部の再開発ニーズの高まりというマクロな構造変化のもと、同政策が地域に一定期間定住してきた住民のうちの最下層を地域から排除する影響をもたらしていることが明らかになった。
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