研究課題/領域番号 |
24530678
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
竹内 隆夫 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (40105747)
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キーワード | 縫製業 / バイク・自動車修理業 / 門扉製造業 / 農村工業 / 建設業 |
研究概要 |
今年度は農村工業の把握を中心に聞き取り調査を実施した。これは、農村工業が調査村で村人が米を売ること以外の収入確保手段として、重要な役割をしめてきているからである。しかも、この村では以前から縫製を親族中心に技術を身につけさせるやり方がおこなわれており、それがさらに全村的に拡大してきたから、その状況の把握が村の今後の方向性を考えるためにも、不可欠になったためである。 縫製業が全村的に拡大したのは、2005年にある人物の帰村によってであるが、それ以前から個人的に何年も修業して縫製の全過程を身に着けて注文服を縫える人は村に何人もいた。しかし、ここで取り上げる縫製は、都市とのネットワークにより、製品の材料を送ってもらい、製品にして送り返すという形の縫製下請の展開である。まず、パンツの下請け(といってもブランドはよく知られている)が展開された。村にはそれに対応できる技術を持った人が育成されていたからである。ついで、2011年のタイの大洪水によりバンコクを引き上げた女性の縫製下請の経営者が2人帰村し、2012年に村で仕事を展開した。これはスカートである。こうして、ズボンとスカートという2種の縫製の雇用が拡大された。このことにより、遠くの工場に早朝から夜遅くまで働きに出ていた層が村で仕事に就くようになった。 しかし、スカートについては2013年11月に2人がまたバンコクに戻ったため(材料や製品の往復の送料が高くなりすぎたとの理由だが)、2014年にはパンツの下請けとスカートの下請けが少数、それに個別に下請けを行う小グループに変化している。 縫製は元請けとの関係が微妙だが、それ以外にバイクや自動車の修理業が各2軒ある。これらは自営として今後の展開が予想される。また、門扉の製造業もいたが、2014年2月には、より大きな隣村に店を移動していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
たまたま訪問時に急速な農村工業の展開と出会い、この内容の確認と実態分析が不可欠になり、詳しく従事者にインタビュー調査を行うことができたこと。また半年の時間差で追試を行った際、予想外の展開が生じていたことで、次への展望を見つけることができたことによる。村人の生活の変化にもつながることなので、新たな課題として、詳しく追試したい。
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今後の研究の推進方策 |
[助成費の使用計画] 「旅費」・季節を変えて(雨季・乾季)2回調査を実施する予定であり、助成費の多くはここで使うつもりでいる。 「人件費」・従来と同様に、各調査ごとに、通訳やコーディネート役のアシスタントを雇用する予定でいる。調査地への交通手段がないので、運転手ごとの車の借り上げも必要になる。 「物品費」・集計用のコンピュータ関係の記憶媒体等の購入もある。
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次年度の研究費の使用計画 |
所属校での学年暦に基づく校務との兼ね合いで2回にわたった調査の実施期間が十分に取れなかったため、次年度使用に回さざるを得なかったことによる。 平成26年度は最終年度に当たるため、上記、今後の推進方策に記載の通り、研究費を使用する。
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