最終年度にあたるため、これまで聞き取り調査で判明しなかったところに集中して聞き取りを行った。まずは、農業経営で一部の農民がGreen Onion(ホーム)とよばれる小さな玉ねぎ(大きさからみれば、ラッキョウに近い)の販売を行うようになったが、栽培の実態が不明なため、そのことについての聞き取りを行った。他村での栽培を畝買いで購入し、それを販売していることが判明した。 次に、高齢化が進行しているので、これまでには見られなかった認知症のような症状を示す高齢者が見られるようになった。そのため、むらではそれにどのように対応しているのかを、明らかにしようとした。全国的な保健ボランティア制度がむらでも機能しているが、介護の実態にまで切り込んでいるのかが、焦点の一つであった。保健ボランティアのトップにあたる副区長にもインタビューしたが、従来の家族介護(同居の娘中心)の枠を超えていない状況であった。これは、近い将来タイにおいて、喫緊の問題になりうるテーマである。さらに、少子化の進行は先行しているので、受け皿(娘の人数)も小さくなり、医療体制も受け皿にはなりにくい現状からみれば、全国的な問題に展開していくことが予想できる。
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