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2014 年度 実績報告書

虐待が生成する家族の相互作用と関係性の特性についての臨床社会学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24530679
研究機関立命館大学

研究代表者

中村 正  立命館大学, 産業社会学部, 教授 (90217860)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード虐待 / 臨床社会学 / 親密な関係性 / 家庭内暴力 / 加害者臨床 / 対人暴力 / 社会臨床 / 治療的司法
研究実績の概要

「男親塾」という臨床社会学的な実践の場を組織し、虐待家族への行政による介入後の支援のあり方を構築するためのアクションリサーチを実施した。
虐待のある家族は最初から暴力を含んでいたのではない。夫婦や親子の日々の相互作用をとおして、場合によっては親戚や老親も加担する家族システム力動により、暴力や虐待が支配する関係性へと至り、逃れにくい網の目が形成されていく履歴があることを参加者のプロフィールをもとに調べた。そこでは、1)緩慢なる暴力化過程、2)当該家族の関係性が宿す暴力性、3)逃れにくい囲い込みの家族制度、4)他罰的な加害者のパーソナリティ特性、5)子どもの側の事情が錯綜することが虐待家族の特徴として抽出できた。
親密な関係性における暴力に関わる臨床は社会学的な介入としてあるべきだとの仮設をもとにした研究とした。問題解決型の「介入と支援」という事例運びが組織される転換点として「一時保護」があり、その後の家族やり直し計画をもとにして独自な社会臨床・家族臨床実践を設定し、社会的な実装を試みた。介入後の親のあり方を変化させるケースワークとするために外付けで機能するグループワークの場が「男親塾」である。そこでの実践をとおして、虐待行動をささえている認識や意味づけなどのフレームを変容させていくプロセスとして以下の諸段階を踏みながら家族のやりなおしへと事例がすすむことを明らかにした。それは、①家族への介入後の選択肢としての親面談の必要性と効果(動機形成)、②家族のやり直し過程における虐待の認識と子育て意識の変化、③子どもの最善の利益という視点の形成、④介入前とは異なる親の態度と意識の形成、⑤再統合の後の点検という諸段階である。
これらの知見をもとにして、虐待家族を囲むスープラシステムの選択肢に「男親塾」や母親グループという臨床社会学的な場の役割が重要であると結論づけた。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 臨床社会学の方法(8)臨地の思考2015

    • 著者名/発表者名
      中村正
    • 雑誌名

      対人援助学マガジン

      巻: 5巻4号 ページ: 14/26

  • [雑誌論文] 男性性・男性問題をめぐる臨床社会学ー親密な関係性研究に焦点づけてー2014

    • 著者名/発表者名
      中村正
    • 雑誌名

      立命館産業社会論集

      巻: 50巻1号 ページ: 73/95

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 臨床社会学の方法(7)ポジショナリティー対人援助と民主主義2014

    • 著者名/発表者名
      中村正
    • 雑誌名

      対人援助学マガジン

      巻: 5巻3号 ページ: 17/27

  • [雑誌論文] 臨床社会学の方法(6)共軛関係2014

    • 著者名/発表者名
      中村正
    • 雑誌名

      対人援助学マガジン

      巻: 5巻2号 ページ: 19/28

  • [雑誌論文] 臨床社会学の方法(5)日常行動理論2014

    • 著者名/発表者名
      中村正
    • 雑誌名

      対人援助学マガジン

      巻: 5巻1号 ページ: 19/28

  • [学会発表] レジリエンスとライフストーリーワークー物語ることの諸実践と対人援助2014

    • 著者名/発表者名
      中村正、徳永祥子、村本邦子、國友万裕
    • 学会等名
      第6回対人援助学会
    • 発表場所
      立命館大学(京都府京都市)
    • 年月日
      2014-11-05
    • 招待講演
  • [学会発表] 男性性の傷つきに敏感なジェンダー臨床論のために(その2)コミュニケーションへと輻輳する女性性の暴力2014

    • 著者名/発表者名
      中村正、國友万裕
    • 学会等名
      第6回対人援助学会
    • 発表場所
      立命館大学(京都府京都市)
    • 年月日
      2014-11-05
  • [学会発表] Community Support through East Japan Family Support Project2014

    • 著者名/発表者名
      Nakamura Tadashi, Muramoto Kuniko, Dan Shiro
    • 学会等名
      21th IFP World Congress of Psychotherapy
    • 発表場所
      Shanghai, China
    • 年月日
      2014-05-09 – 2014-05-11
  • [図書] 離婚紛争の合意による解決の支援と子どもの意思の尊重2014

    • 著者名/発表者名
      二宮周平、中村正、渡辺惺之、池田清貴、上野はるみ、片山登志子、金成恩他10名
    • 総ページ数
      400(129-147)
    • 出版者
      日本加除出版

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公開日: 2016-06-01  

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