研究成果を3点に集約し以下に記す。第1に超高齢者(数え年80歳以上者、90歳以上者)の数と比率の計算。結果は、齢90以上者が基礎人口に占める比率は1‰以下(千人に1人未満)、80歳以上者の比率は5~11‰(千人に5~11人)程度で、僅少だった。第2に老人処遇の理想(孝行)と現実(虐待)。結果は、江戸時代の支配層や庶民は孝行を理想としたが、家計困窮や家族間の軋轢などで、実際には裁判沙汰にもなった。しかも、それは氷山の一角と推定された。第3に老耄・老病の実態。結果は、史料は耄碌・呆けると書いているが、記述内容を現代医学の知識と対照すると、痴呆、徘徊、せん妄など認知症状・患者の存在を確認できた。
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