研究課題/領域番号 |
24530682
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
筒井 淳也 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (90321025)
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キーワード | 女性労働 / 公的雇用 |
研究概要 |
平成25年度の研究計画の主な内容は、統計分析のもととなる理論モデルの検討と、収集した統計データを用いた実証分析であった。 理論モデルについては、公的雇用が主に女性のケアワーク雇用を促進することを通じて男女の賃金格差に二面の影響を与えているという先行研究の結果を参照しつつ、雇用の「量と質」の両面に注目しつつ構築した。賃金格差については、福祉国家における家族支援制度が管理職における男女賃金格差を(管理職への女性の昇進を抑制することを通じて)広げているということ、他方で公的雇用を通じて相対的に低賃金職における男女賃金格差を抑制することが示唆されている。 こういった示唆を受け、公的雇用が女性労働力率をどの程度押し上げているのかについてデータで検証することに加えて、より詳細な職業についての内訳をみた。職業カテゴリーの労働の「質」についてはデータが得られにくいが、国際比較の個票データを活用するなどして補完した。 クロスセクションデータの記述的分析からは、公的雇用と女性の就業率については明確なプラスの関係をみてとることができた。また、特に民間と比べた時に公的雇用において女性が管理職に就業する割合が一般的に高いことなども明らかになった。 ただし、以上の結果をより厳密な因果分析の観点から明らかにするためには、パネルデータの構築と分析をする必要があるため、OECDやILO等から入手可能な範囲でのデータの整備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分析の理論モデルの構築とデータの整備は概ね順調に進んでいるが、時系列の幅をもたせたデータの構築が難しい国があり、多少時間をとられている。
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今後の研究の推進方策 |
整備したデータを元に早い時期に統計分析の結果を確定させ、論文の執筆・投稿を行うことが必要となる。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度で使用しきれなかった端数である。 基礎データを収集するための海外(台湾を予定)調査旅費、成果を海外(アメリカ)で報告するための研究旅費、データの整備を行うための人件費・謝金として用いる。
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