2014年度は前年度までの調査結果を踏まえ、2013年度同様、さらにハーム・リダクションおよびポスト・ハーム・リダクションに関する情報を、とくに英国のハーム・リダクション活動に関連する組織とネットワークにたずさわる人びとにインタビューするなどして収集するとともに、ハーム・リダクションの発達過程に関する資料を収集した。発達過程に公衆衛生モデルと医療モデルとの分化に関する資料を発見可能であると考えられたからである。そして以上のデータや資料も踏まえながら、現代におけるハーム・リダクションの論文を執筆するとともに、ハーム・リダクションに関する情報発信を行った。
今年度の主な活動は、具体的には次の通り。①夏季にロンドン(イギリス)で調査を行い、ハーム・リダクションに関する詳しい情報を、とくに薬物使用者組合の世界的ネットワーク活動にたずさわる責任者などから収集した。それらによると、ハーム・リダクションの成立過程に関する一般的情報・専門職による情報が実はある種ポリティカルなものであることが示唆された。②ハーム・リダクションやリハビリテーションに関する論文を執筆し、『臨床心理学』に掲載された。③一般雑誌からの依頼により、ハーム・リダクションとそれと対比をなす薬物戦争との関係について論考を執筆・刊行した。④ウェブニュースメディアからの依頼により、ハーム・リダクションの特徴とその問題点について論考を執筆・刊行した。
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