研究課題/領域番号 |
24530688
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研究機関 | 活水女子大学 |
研究代表者 |
石川 由香里 活水女子大学, 健康生活学部, 教授 (80280270)
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研究分担者 |
杉原 名穂子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (00251687)
喜多 加実代 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (30272743)
中西 祐子 武蔵大学, 社会学部, 教授 (90282904)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 社会関係資本 / 教育意識 / 母親 |
研究実績の概要 |
今年度は前年度に行った調査データのクリーニング後、結果を解析した。研究の目的が母親の社会関係資本が子育てに与える影響についてであるので、対象者は子育て世代の女性ということで、30~59歳までの女性を対象とした。比較のためには独身者も必要であるので、この時点で特に婚姻の有無による選択はしていない。サンプルは東京都区では住民基本台帳、福岡市と長崎市においては選挙人名簿から多段抽出法によって選定し、各地域1000通を目安に郵送による調査票調査を行った。得られたサンプル数は1268(東京392、福岡446、長崎432)、有効回答率42.0%であった。 結果については、11月の第86回日本社会学会(松山大学)において調査結果の全般的な報告と、子どもの教育達成に母親の社会関係資本が及ぼす影響についての口頭発表を行った。 また論文として、母親の社会関係資本と教育意欲を地域間比較調査した内容を新潟大学の紀要に、母親の就労状況による社会関係資本の違いについての内容を活水女子大学紀要に掲載した。前者の内容は共分散分析によって社会関係資本と教育熱意の地域的特徴を示し、東京都区部の階層型に対し長崎が地縁型であること、福岡が市民社会型であるとの知見が得られた。後者の論文では、パートタイムや自営業に比べるとフルタイムは地域とのつながりが希薄な傾向にあり、自分の親と専門サービスとが大きな子育て資源となっていたのに対し、専業主婦にとって親は資源となっておらず、パートタイマーの資源として夫の占める位置が大きかった。就労継続者は、保育所などの専門家・サービスの利用に加え、多様な関係性を保っている。なかでも高学歴の就労継続女性は、子育てに関する社会関係資本において、最も恵まれた状態にあることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の目標であった、調査の実施と結果の基本的な解析までに至ることができた。しかしながらもう少し詳しいデータ分析の必要がある。また調査票調査によって得られた結果の傍証となるような非定型的データも必要であるとの結論に達したため、インタビュー調査の形で標本調査の対象者に追加調査を行うことを追加の課題とした。
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今後の研究の推進方策 |
これまで分析が終わっているのは、子育てにおける社会関係資本の地域的特徴と母親の就労の影響についてのみであり、それが教育意識や教育行動にどのような影響を与えているのかという調査のそもそもの目的については解析が不十分であるため、その部分についての分析を進めていきたい。また、標本調査から得られた結果に肉付けをするために、標本調査の回答者の中から協力者を募ったインタビュー調査を企画しており、それについても併せて進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
選挙人名簿の使用が許可されない場合を考えて、3か所の調査地点すべてにおいて住民基本台帳閲覧代を計上していたが、3つのうち2地点で選挙人名簿の使用が許されたためにその予算が残っている。また、年度内に印刷を予定していた調査対象者に対する報告書の完成時期が伸びてしまったことも要因である。
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次年度使用額の使用計画 |
調査票調査の結果を調査対象者に伝える必要があるので、まずその報告書の刊行を行い、配布する。そのための印刷費および郵送費として使用する。さらに調査票調査の結果を裏付け、分析を推し進めるためにインタビュー調査を追加する予定であるが、インタビュー調査には数名で参加するのが理想的である。したがってメンバーによっては遠方から調査地に赴くための旅費を必要とする。残額については結果分析の検討を行うための研究会旅費として使用する予定である。
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