• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

現代農村の新規就農者と若者集団:モノグラフとイシューアプローチによる生活過程分析

研究課題

研究課題/領域番号 24530690
研究機関岩手県立大学盛岡短期大学部

研究代表者

三須田 善暢  岩手県立大学盛岡短期大学部, 国際文化学科, 准教授 (10412925)

キーワード地域社会・村落 / 新規就農者 / 環境保全運動
研究概要

本研究のトピックとしては(a) 現代農村における「若者集団」の活動内容とメンバーの相互作用過程調査、(b) 採石に伴う環境問題をめぐる「若者集団」ら集落住民の反対運動の過程および構造分析、(c) 新規就農青年のネットワーク形成過程、既存「若者集団」との対比による特性把握、の3つを置いていた。
このうち、本年度も昨年度に続いて、(b)採石に伴う環境問題をめぐる「若者集団」ら集落住民の反対運動の過程および構造分析に力点をおいた。昨年度は、新規参入者が採石反対運動の一環として首長選に出馬した経緯を綿密に追った。本年度は追加調査を踏まえてそれを分析し学会報告をおこなった。その結果、この運動の前史である別の環境問題をめぐる集落間の軋轢と地域のキーパーソンの意向が運動への温度差となっていること、「地元」の代表性が当事者集団から行政へと変更されたことでの運動の停滞があったこと、専門機関による科学的見地と外部団体による圧力が重要な要因となったこと、こうした複雑な状況のなかで、新規参入者は新規であるがゆえに地域の代表を担えたであろうことがわかってきた。
本事例に基づく研究は、これまで新規参入者研究および環境社会学研究では見落とされてがちであった「地域の代表性」がなりたつ理由を「分厚い記述」をもとに描き解明したものとして位置づけられるだろう。くわえて、現代農村で生じつつある新しい状況(新規参入者の政治的役割の増大等)をも描写したものとして評価できるだろう。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

若干遅延している。
その理由は、まず
1)「研究計画の設計と企画」は、計画通り実施された。
2)「調査の実行」については、前述の(a)-(c)をトピックとしていたが、本年度も、そのうちの(b)に特化する形となり、(a)および(c)については、若干の調査をおこなうにとどまった。
トピック(b)は残り論文を執筆するのみであり、全体の半分弱は達成しているが、全体としてみればやや遅れている。

今後の研究の推進方策

上に述べたように、2年度目も初年度同様トピック(b)に絞る研究・調査となってしまった。
そのため、最終年度はトピック(a)(c)に力点をおいて調査・分析をおこなう。
具体的には、(a)では有志青年グループの「S組」と「遊佐町消防団H班」への参与観察を続けるとともに、構成員への個別アンケート調査を実施する。(b)では、学会報告をもとに論文を執筆・投稿する。(c)についても、これまでの調査をまとめて論文を執筆する。
これによって、当初計画の遂行と完成に向かうつもりである。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額が生じた理由は、物品費が計画より下回ったからである。また、当初予定されていたアジア農村社会学会が2014年度開催に変更されたため、その分の費用を残しておくことも理由のひとつであった。
最終年度は、上述したようにこれまでのトピックの力点を移行しつつ、調査をすすめていく。同時に、これまでの調査結果を論文化する作業をおこなう。その際、これまで借り出しが困難であった集落文書の借り出し・写真撮影の経費のほか、調査票調査への支出、それらの整理・集計に利用するソフトウェアおよびモバイル機器への支出を予定している。くわえて、ラオスで開催されるアジア農村社会学会大会へ参加し、さらにアメリカ・ハーバード大学へも研究交流に赴き、研究交流によりアジアおよび北米の中で自身の研究を位置づけることを試みる。
こうした事情のため、研究予算としては、旅費・交通費、物品費が大きな比率をしめる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 資料紹介 土屋喬雄の石神調査ノート(五)――アチックミューゼアムによる石神調査の再考に向けて――2013

    • 著者名/発表者名
      三須田善暢・林雅秀・高橋正也・庄司知恵子
    • 雑誌名

      総合政策

      巻: 第14巻第2号 ページ: 211-224

  • [雑誌論文] 調査報告 パラグアイにおける伊藤勇雄一族(2)――イグアス移住地での生活と意識――2013

    • 著者名/発表者名
      三須田善暢
    • 雑誌名

      総合政策

      巻: 第14巻第2号 ページ: 193-209

  • [雑誌論文] 調査報告 パラグアイにおける伊藤勇雄一族(3)――イグアス移住地での生活と意識――2013

    • 著者名/発表者名
      三須田善暢
    • 雑誌名

      総合政策

      巻: 第15巻第1号 ページ: 81-89

  • [学会発表] 環境問題をめぐる村落の論理および新規農業参入者との関係変化――山形県遊佐町における鳥海山岩石採取反対運動の事例から――

    • 著者名/発表者名
      三須田善暢
    • 学会等名
      日本村落研究学会大会
    • 発表場所
      福井県越前市越前市生涯学習センター
  • [図書] 第42回 日本有機農業研究会全国大会・総会 全国有機農業者と消費者の集い2014in岩手 農業の未来を賢治の地イーハトーブで語ろう 大会資料2014

    • 著者名/発表者名
      岩手県生活協同組合連合会・岩手有機農業研究会
    • 総ページ数
      118
    • 出版者
      岩手県生活協同組合連合会・岩手有機農業研究会

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi