研究課題/領域番号 |
24530692
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研究機関 | 公益財団法人労働科学研究所 |
研究代表者 |
赤堀 正成 公益財団法人労働科学研究所, 研究部, 協力研究員 (60321676)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 企業別労働組合 |
研究実績の概要 |
日本の労働組合の組織形態は通常企業別労働組合を基本とし,「欧米」のそれは産業別労働組合だとされることが多い。しかし,今日のフランスにおいては企業別乃至事業所別労働組合が広範に組織されているように見える。 ことにフランス労働総同盟の場合は近年ますます単位組合(サンディカ)が企業別乃至事業所別に組織されている傾向がうかがえる。日本の産業別組織は「企業別労働組合の勢揃い」として,しばしば批判的に言及されることがあるが,それ自体は今日のフランスも同様と見做すことができる。 この点で注目されるのは,フランスでは企業内における労働運動の権利が1968年5月に運動の成果として実現したことである。それまで企業内における労働組合運動が経営者から強く忌避されていたことを踏まえると,この変化は大きなものであった。とくフランス労働総同盟の場合にはフランス共産党の企業細胞との関わりで,戦後初期から企業別労働組合が志向されていたとも指摘される。 ただし,日仏で異なるのは,フランスでは人民戦線期に確立した産業別労働協約の拡張適用制度があることで,このことで,今日組織率7-9%であるにも拘らず,産業別労働協約が適用される労働者が90%を越えるとされる所以である。 また,戦後日本と同様に地評,地区労に該当する組織がフランスにもあるが,とくに労働総同盟の場合は単位組合の規約において,ナショナルセンター,産業別組織に加えて,地評,地区労への加盟が規約に明記されることが多く,その点,日本よりも単位組合と各級地域組織,産業別組織との繋がりが規約上も強固であると言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の勤務先変更による研究環境の著しい変化もあり,インフォーマントに対するヒアリングの日程設定が困難だっため。
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今後の研究の推進方策 |
予定していたインフォーマントとの連絡を密にし,また,現地調査に加えて,インフォーマントを拡大し,電子メールを利用した情報提供を重視する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた現地調査がインフォーマントとの都合と合わず延期されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度現地調査を行い,また文献資料等の入手に用いる。
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