研究課題/領域番号 |
24530693
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研究機関 | 国立社会保障・人口問題研究所 |
研究代表者 |
松本 勝明 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障応用分析研究部, 研究員 (80272300)
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キーワード | 国際情報交換 ドイツ / 社会保障 / 国境を越える移動 |
研究概要 |
本研究の目的は、国境を越える人の移動に対応した社会保障の在り方を検討するため、ドイツを対象として、国境を越えて移動する人々が社会保障に関して直面する問題、それを解決するための制度等の分析・検討を行い、それを基に、日本において生じうる問題点を明らかにするとともに、その解決のための具体的な政策の選択肢を示すことにある。 このため、平成25年度は、まず、平成24年度において実施した文献調査及び訪問調査により得られた情報を論点に沿って整理・分析した。その結果に基づき、日本での具体的な政策の検討に必要な情報を洗い出し、不足している情報を補うための文献調査及び訪問調査を行った。このほか、EU社会法の専門家であるドイツの研究者を講師とする研究会を実施し、国境を越える人の移動に対応した社会保障の在り方について討議・意見交換を行った。 また、2004年にEUに新規加盟した旧東欧諸国からの労働者の移動に関して設けられていた経過的な制限措置が2011年に終了したことに対応して、これらの国々から大量に流入すると予想される労働者に対する社会保障の適切な適用を確保するために講じられた包括的な立法措置に関して、昨年度に実施したオーストリアの状況に関する調査結果を基に、分析・検討を行った。 この成果については、2013年10月に開催された社会政策学会第127回大会において、「EU新規加盟国からの労働者の自由移動と社会保障-オーストリアの取組み-」と題する報告を行い、社会保障政策の専門家などとの討議を行った。さらに、これを踏まえて、「労働者の自由移動と社会保障-EU加盟国の拡大に対応したオーストリアの取組み-」と題する論文を発表する予定となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度においては、平成24年度において実施した調査により得られた情報を論点に沿って整理・分析した。それに基づき、日本での具体的な政策の検討に必要な情報を補うための調査を行うとともに、ドイツとの調整の相手国であるオーストリアでの調査を行うなど、当初の研究実施計画で予定していた研究を順調に進めることができた。 また、EU新規加盟国からの労働者の自由移動に対応して、社会保障の適切な適用を確保するためにオーストリアで講じられた包括的な措置についての分析・検討を行い、その効果と課題を明らかにすることができた。 このような平成25年度の調査研究を通じて、平成26年度に本研究を取りまとめ、研究目的を達成するために必要な成果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度においては、まず、平成25年度までの検討結果を取りまとめ、その内容について、研究協力者との議論を行い、それに基づいて必要な修正・補足を行う。 その結果を基に、日本において、国境を越える人の移動や社会保障を支える人材の受け入れに伴って生じうる問題とその解決のための方策並びにそれを実施した場合に予想される効果と問題点を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じた理由は、平成25年度に実施を予定していた意見交換の一部が行えなかったことから、そのために予定していた経費が未使用となったためである。 平成26年度には、この意見交換も実施する予定であるので、次年度使用額と平成26年度分として請求した助成金を合わせて使用することにより、研究計画に沿った研究を進め、研究の取りまとめを行うこととしている。
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