• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

高齢者の受診行動とヘルスリテラシーの現状と課題

研究課題

研究課題/領域番号 24530698
研究機関独立行政法人国立長寿医療研究センター

研究代表者

村田 千代栄  独立行政法人国立長寿医療研究センター, 老年社会科学研究部, 室長 (40402250)

研究分担者 加藤 佳代 (鈴木 佳代)  愛知学院大学, 総合政策学部, 講師 (90624346)
キーワードヘルスコミュニケーション / ヘルスリテラシー / 医師患者関係
研究概要

良好な治療予後のためには、医療従事者と患者の関係は重要である。しかし、一般高齢者やその家族からの聞き取りから、双方のコミュニケーションがうまく行っていない現状が明確になった。医師側要因として①コミュニケーション態度、②説明の仕方、患者側要因として、③医師への信頼感、④情報を理解し活用する力(ヘルスリテラシー)の不十分さ、⑤治療に対する姿勢の5つが抽出された。⑤の治療に対する姿勢では、①主体的に治療に関わる(自己決定型)、②医師に任せる(おまかせ型)の2累型に大別され、高齢女性ほど「おまかせ型」が多いなど、性や年齢による差が見られた。日本福祉大学の一般高齢者調査の分析では、医師とのコミュニケーションには、年齢や性より、むしろ健康情報への興味やかかりつけ医の有無などヘルスリテラシーの関連が強かった。これらは米国公衆衛生学会や老年社会科学会で発表した。
ソーシャルワーカーや医師の聞き取りからは、医療従事者と患者関係の齟齬を来す要因として、①高齢患者の理解力の問題、②医療や制度に対する知識の乏しさ、③頑固さや思い込み、④ヘルスリテラシーの不十分さ、⑤現場での時間の制約などがあげられた。その結果、治療に必要な情報が現場で十分得られないという悪循環や、治療の中断につながっていた。また「先生におまかせ」の問題も指摘された。
これら聞き取りの結果、一般住民が医療に主体的に参加するには、ヘルスリテラシーの中でも特に、相手に働きかけて情報を得る力を醸成する必要性が示唆された。そのための実現可能性調査の一環として、地域拠点を利用した住民対象のカフェ型教育セミナーを開催し、中日新聞の知多版に掲載(2013.11.8)された。その後、問い合わせが増え、新規参加者の増加につながった。自治体保健師や社会福祉協議会、大学など専門家養成機関もセミナーに参加するなど、来年度の連携の下地ができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予想以上に、地域高齢者やその家族の協力を得られ、聞き取り調査も順調に進んだ。その結果、男女ほぼ半数、年齢層も30代から90代と幅広い対象者を得ることができ、最終年度に地域拠点を利用した一般高齢者のヘルスリテラシー向上を目的としたワークショップを行うための十分な情報収集ができた。

今後の研究の推進方策

今迄の研究成果をふまえ、一般高齢者13.7万人調査(調査主体:日本福祉大学健康社会研究センター)データの分析と並行して、質的調査の分析を行う。また、WHOのAge-friendly clinic(高齢者にやさしい診療所)の教材などを参考に、4月~6月にかけて、医師・患者関係向上のためのパイロット版教材を作成し、自治体や医療機関の協力も得ながら、一般住民のヘルスリテラシー向上を目的とした小規模介入(N=20~40人程度)を7月から開催予定である。介入のプロセス評価(参加者の属性、開催頻度、理解度など)とアウトカム(医療者や治療に対する態度や知識の変化など)評価を行い、研究成果は、学会や論文などによる発表に加え、関連医療機関や自治体のホームページなどを通じ、広く社会に発信する予定である。

次年度の研究費の使用計画

聞き取り調査にあたり、近隣の高齢者の協力が比較的容易に得られたため、予定していた旅費が少額で済んだ。また、一般高齢者調査の実施が調査協力自治体の事情で秋にずれ込んだため、データクリーニングなどのための予算が次年度に持ち越されることになった。
データのクリーニングおよび基礎的な分析のための謝金、および地域拠点における介入、ホームページ作成費用、論文作成費用に主にあてる予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] AGESプロジェクトのデータを用いたGDS5の予測的妥当性に関する検討-要介護認定,死亡,健康寿命の喪失のリスク評価を通して2014

    • 著者名/発表者名
      和田有理、村田千代栄、平井寛、近藤尚己、近藤克則、植田一博、市田行信
    • 雑誌名

      厚生の指標

      巻: 印刷中 ページ: 不明

    • 査読あり
  • [学会発表] Socio-economic status and patient-physician communication among the older Japanese: Japan Gerontological Evaluation Study.2013

    • 著者名/発表者名
      Chiyoe Murata, Kayo Suzuki, Tami Saito, Hideyo Tsutsui, Seungwon Jeong, Katsunori Kondo, Takao Suzuki.
    • 学会等名
      The 141st APHA Annual Meeting
    • 発表場所
      Boston, USA
    • 年月日
      20131103-20131106
  • [学会発表] 医療者と高齢患者とのコミュニケーションの問題の現状と課題 - 医療提供者側の視点から2013

    • 著者名/発表者名
      筒井秀代、原岡智子、村田千代栄
    • 学会等名
      第54回日本社会医学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130706-20130707
  • [学会発表] Socio-economic status and dementia among the old: the AGES project2013

    • 著者名/発表者名
      C. Murata, T. Takeda, K.Suzuki, S. Jeong, K. Kondo
    • 学会等名
      The 20th IAGG World Congress of Gerontology and Geriatrics
    • 発表場所
      Seoul, Korea
    • 年月日
      20130623-20130627
  • [学会発表] Association of social support with depressive stat e in Japanese elderly: JAGES project.2013

    • 著者名/発表者名
      Misuzu FUJITA, Kayo SUZUKI, Chiyoe MURATA, Noriko CABLE, Katsunori KONDO and Akira HATA
    • 学会等名
      The 20th IAGG World Congress of Gerontology and Geriatrics
    • 発表場所
      Seoul, Korea
    • 年月日
      20130623-20130627
  • [学会発表] 医師・患者コミュニケーションの関連要因2013

    • 著者名/発表者名
      村田千代栄
    • 学会等名
      老年社会科学会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      20130604-20130606

URL: 

公開日: 2015-05-28   更新日: 2015-06-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi