研究実績の概要 |
青森県内6市町村の40~74歳の中高年住民を対象として、啓発・健康教育とうつ病スクリーニングを用いた多層的予防介入を実施した。このうち、スクリーニングの配布回収方法は4地区(対象者数5,689名)において留置法による局所的配布(小地域に在住する対象年代全住民に配布)を行い、また、2地区(対象者数3,303名)において郵送法による広域的配布(自治体全域の特定年齢者に配布)を行った。両地区のスクリーニング効率を比較した。 その結果、参加率は局所的配布地区で62.1%、広域的配布地区で57.0%であり、前者が5.1%高かった(χ2(1) = 23.1, p < 0.001)。一次陽性率は局所的配布地区で19.1%、広域的配布地区で16.4%あり、前者が2.7%高かった(χ2(1) = 6.06, p = 0.014)。二次陽性率(把握されたうつ病エピソード有病率)は局所的配布地区で1.9%、広域的配布地区で2.1%であり、両者に有意差は認めなかった(χ2(1) = 0.14, p = 0.71)。陽性反応的中度は局所的配布地区で10.1%、広域的配布地区で12.7%であり、両者に有意差は認めなかった(χ2(1) = 1.44, p = 0.23)。 今回、スクリーニングを用いた多層的予防介入の配布方法を比較したところ、小地域における留置法による局所的配布は、自治体全域における郵送法による広域的配布に比べて参加率とスクリーニング陽性率は若干高かった。しかし、把握されたうつ病エピソード有病率と陽性反応的中度には差が見られなかったことから、両方法のスクリーニング効率に差を検出することはできなかった。今回のスクリーニングの実施が今後の対象年代の自殺死亡率に及ぼす影響を追跡する予定である。
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