研究課題/領域番号 |
24530705
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟県立看護大学 |
研究代表者 |
渡辺 弘之 新潟県立看護大学, 看護学部, 講師 (10300097)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ベトナム / ハンセン病 / QOL |
研究概要 |
ベトナムには社会復帰が困難な状況に置かれた患者・元患者が多数存在しており、そうした患者群の生活状況やニーズについて明らかにされていない。そうした状況に鑑み本研究では包括的健康関連尺度であるSF-36v2を使用し、ベトナム国内2か所のハンセン病専門病院の患者群143名と一般群146名のQOL(生活の質)を測定した。対象者の平均年齢は患者群が61.4歳(SD±17.2)、一般群が55.2歳(SD±20.0)である。患者群と一般群のスコア全体を比較すると有意差がみられた他(p<.01)、10-29歳代の若年患者層においては日常役割機能(身体)、身体の痛み、全体的健康観、活力、社会生活機能、日常役割機能(精神)の各下位尺度スコアが一般群と比較して有意に低かった。一方、中高年齢層になると患者群と一般群とは有意差のみられる項目は少なく、患者群と一般群との間にはほとんど差がみられないという結果となった。病院間の比較では日常役割機能(身体)、日常役割機能(精神)の項目に有意差がみられ、自立支援プログラムを実施している病院における患者群のスコアが有意に高かった。患者のQOLを高めるためにはこうしたプログラムの利用も有効であると考えられる。また若年患者群の場合、入院生活により社会的孤立感を深めてしまう傾向にあり、QOLの全般的な低下を招いている可能性が考えられる。この点から家族の継続的な支援や病院内での人間関係形成の支援が必要と考えられる。また、病院内で患者が従事可能な軽作業や自立支援プログラムの実施がQOL向上の一案として考えられる。とりわけ長期に渡って病院の高齢者棟やハンセン病村に滞在している患者群に対しては、自立支援プログラムを通じて社会的役割を与えることに意義があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年に行った調査により検証に必要な調査サンプル数を収集することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年までの調査を基盤としてさらに対象地域を拡大し調査を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
現地調査のための渡航費、研究発表のための旅費等が確定ずみの支出予定である、また調査規模の拡大に伴い、調査協力者に対する謝礼など調査協力費の増加が見込まれる。
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