研究課題/領域番号 |
24530705
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研究機関 | 新潟県立看護大学 |
研究代表者 |
渡辺 弘之 新潟県立看護大学, 看護学部, 准教授 (10300097)
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キーワード | ハンセン病 / ベトナム |
研究概要 |
ベトナムのハンセン病専門治療施設にてハンセン病の治療および後遺症治療を受けているハンセン病患者および元患者(患者群)を対象とし、包括的健康尺度であるSF-36v2を用い生活の質(QOL, Quality of Life)の調査を実施した(n=143)。また対照群としてベトナムの一般市民(一般群)を設定し、同様の調査を実施した(n=146)。年齢区分によって比較した場合、身体機能日常役割機能(身体)、身体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、日常役割機能(精神)の項目において、特に10-29歳代の患者群のスコアが有意に低いという結果になった。若い世代の患者群の場合、ハンセン病への罹患と治療の必要性によって社会的孤立感を深めているという問題が見出され、治療中の精神的なサポートが必要であるとの結論に達した。 また、全体結果の比較では10歳代から49歳代の年齢層において患者群のQOLが有意に低かったものの、年齢が上がるにつれて患者群と一般群との間に有意差はみられないという結果となった。その他、一般群は年齢とともにQOLのスコアが低下していくのに対し、患者群は日常役割機能(身体)、全体的健康感、日常役割機能(精神)、心の健康などの項目において一般群のスコアを上回っていた。高齢患者群の場合、専門治療施設において医療サービスを受けられること、安定的な人間関係が保たれていることなどの要因によってQOLが保たれていると考えられる。 調査結果をまとめた論文は日本ハンセン病学会雑誌に「ベトナムにおけるハンセン病患者群のQOL評価」(第82巻3号、2013年12月)として掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
比較群のデータを含め、ベトナムにおけるハンセン病患群のQOLを把握するために必要と思われるサンプル数が収集できたことにより、ハンセン病患者群の生活の質の概要を概ね把握することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2013年度にはQOL調査以外にベトナム南部のハンセン病専門治療機関において実施されている患者群向けの自立支援プログラムについてヒアリング調査を実施した。ベトナムにおいてハンセン病患者は社会経済的に困難な状況に置かれていることもあり、経済的な自立と社会参加につながる支援の方策をより具体的に深めることを次年度の研究の課題とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究に使用していたデスクトップPCに突然不具合が生じPCの入れ替えを行う必要が生じたため、前倒し請求によって新規デスクトップPCを購入した(¥109,300)。 調査研究に必要となる旅費および人件費・謝金を中心とした支出を予定している。
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