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2013 年度 実施状況報告書

地域を基盤としたソーシャルワークの理論化に向けた個と地域の一体的支援に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24530708
研究機関大阪市立大学

研究代表者

岩間 伸之  大阪市立大学, 生活科学研究科, 教授 (00285298)

研究分担者 林 真帆  別府大学, 文学部, 教授 (50523304)
鵜浦 直子  大阪市立大学, 生活科学研究科, 講師 (10527774)
キーワードソーシャルワーク / 総合相談 / 地域包括ケア / 当事者 / 権利擁護
研究概要

平成25年度における各研究成果は以下のとおりである。1.個と地域の一体的支援を推進するアプローチでは、定期的に実施した事例検討会をとおして、そこで語られたソーシャルワーカーの働きかけを分析した。そして、個と地域の一体的支援を推進するソーシャルワークの機能として、①個と地域の間にプラスの相互作用が生じるように働きかける、②個に向けてワーカーと地域が協働して支援できるようにする、③個の支援への積極的な参加を地域に促す、④個と地域の間に支援関係を構築する、⑤地域による個への支援の質を深める、⑥地域による個の支援のひろがりを促す、⑦新たなニーズへの気づきを地域に促す、⑧個を支援する環境を整える、の8つを抽出した。
2.当事者の側に立脚した地域生活支援の方法では、今年度は、高次脳機能障害者への効果的な実践方法を抽出することを目的に、本対象の援助経験のある社会福祉士5名に実践事例の提供とヒアリング調査を実施した。また、スーパーバイザー資格をもつ社会福祉士3名の協力を得て事例研究会を開催し、5つの事例の分析をおこなった。分析の結果、クライエントに共通するニーズとして、家族や地域に理解されたいというニーズをもつことがわかった。この観点から援助方法は、傾聴と支持を繰り返すという特徴をもつものだった。また、この方法は、本人自身が問題に取り組むことを支える点において有効な方法であることがわかった。
3.権利擁護の観点からみた個と地域の一体的支援の方法では、1の個と地域の一体的支援を推進するアプローチの明確化の研究と一体的に進めた。日常生活自立支援事業などを活用している判断能力が必要な人への個と地域の一体的支援のあり方について事例検討を行い、そこで求められるソーシャルワーカーの機能についての明確化に取り組んだ。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

個と地域の一体的支援における明確化に向けて定例事例研究会を計画どおりに開催できた。そして、この会議での検討に基づき、個と地域の一体的支援を推進するソーシャルワークとして8つの機能を抽出できたことが順調に進展した理由としてあげられる。
また、当事者の側に立脚した地域生活支援の方法においては、初年度の調査からさらにヒアリング調査および事例研究会を実施し、当事者の側に立脚した地域生活支援の方法についての分析を深めることができた。そして、高次脳機能障害者の地域生活上で起こる課題として、①自己の認識と事実のずれ、②積み重ねられない体験、③自己による継続的否定、④他者による継続的否定、⑤社会関係の隘路の5つの課題と、それぞれの働きかけの焦点を明確化できた。今年度は、とりわけ①、②、③を支える方法として、連続性のある傾聴と支持という二つの方法を抽出している。

今後の研究の推進方策

最終年度にあたるため、個と地域の一体的支援を推進するアプローチについては、引き続き定例事例研究会を開催して分析を続けるとともに、個と地域の一体的支援を推進するソーシャルワークの8つの機能について実践現場で活用できる指標づくりとそれに基づくハンドブックの作成を視野に入れた報告書の作成に取り組む。
加えて、当事者の側に立脚した地域生活支援の方法に関しては、地域で生活し就労している5名の高次脳機能障害者のインタビュー調査を実施し、当事者のライフストーリーから地域生活および就労に至るまでの変化とその要因を明らかにする。とりわけ、当事者と接点の深い社会関係や地域との相互作用に焦点をあて、当事者を地域で支える援助の方法の明確化に取り組む。
権利擁護の観点からみた個と地域の一体的支援の方法では、個と地域の一体的支援を推進するアプローチの明確化の研究と一体的にすすめていくとともに、後見人等の権利擁護の担い手との連携と協働による支援のあり方やそこでの課題を実証的に検討し、個と地域の一体的支援を推進するアプローチのさらなる明確化につなげていく。

次年度の研究費の使用計画

研究会会議参加のための旅費及び定例事例検討会への謝金の支出を予定していたが、それに充当できるほどの予算が残っていなかったことと、今年度の研究計画において目標としていた研究成果をある一定程度得ることができたため、次年度へ繰り越すこととした。
研究会会議参加のための旅費および定例事例検討会への謝金として支出する予定。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 高次脳機能障害者の社会生活上で生じる「生活のしづらさ」がもつ意味に関する研究-ソーシャルワークにおける働きかけの焦点の明確化-」2014

    • 著者名/発表者名
      林眞帆
    • 雑誌名

      社会福祉学

      巻: 第56号1巻 ページ: 印刷中

    • 査読あり

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公開日: 2015-05-28  

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