研究課題/領域番号 |
24530709
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
清水 由香 (丸山 由香) 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 助教 (90336793)
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キーワード | 精神障害者 / 居宅介護 / サービス評価 / 障害福祉サービス / 地域生活支援 |
研究概要 |
【研究目的】精神障害者を対象にした居宅介護の効果測定を目的に,一次調査として利用者の生活上の変化や生活の質の向上を把握する項目を探索的に検討する。あわせて支援効果を促進する要因の探索を行った。【研究方法】WAM-NETに登録された「障害福祉サービス事業所検索」から「居宅介護」「精神障害者」,A都道府県(政令市1カ所除く)内の全市町村の条件で抽出した1357箇所に調査票を郵送配票し,管理者・サービス管理提供者に回答を依頼した。回収された449票(33.1%)を分析した。 【結果】1)居宅介護の効果を20項目設定したところ,上位5項目は,「支援者と信頼関係を築くことができるようになる」,「気持ちが明るくなり,笑顔がみられるようになる」,「生活リズムが規則的になる」「居宅で安全に生活できる」「服薬,通院など健康管理行動がとれる」であった。家事遂行などの直接援助効果よりも間接的な効果として心理・社会面の生活変化が支持された。2)支援効果促進の要因について,事業所内外の連携・協働体制は6割から7割の同意,またホームヘルパーの精神障害者への適切な関わりについては6割前後の同意だった。事業所内外の教育的支援に関しては4割から5割にとどまった。3)他機関との連携は,相談支援専門員,訪問看護,市町村障害福祉担当者が多かったが,保健師や精神福祉相談員は「あまりない・まったくない」が7割を占めた。【考察】精神障害者への居宅介護の効果を測る指標として,定期的に一定時間の訪問と生活支援を通したコミュニケーションが奏功し,生活リズムの形成や心理面での肯定的変化や安心,安全な生活に対する効果があるという評価が高った。ホームヘルパーの支援態度と機関内外での連携と協働が効果の促進要因として重要視されていた。今後,ホームヘルパーの支援態度と連携・協働と効果促進のメカニズムについて二次調査で検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度のインタビュー調査をふまえて,精神障害者を対象にした居宅介護の評価視点の第一次質問紙調査を遂行し,二次調査への準備段階まで到達できた。結果については,有効回答率が低かったことが課題としてあげられる。調査回答の督促を1回しか実施できなかったことや調査時期が年度末に近かく,多忙なども背景にあったことが考えられる。第一次質問紙調査の実施がやや遅れたため,最終年度に計画が一部ずれ込んだ。
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今後の研究の推進方策 |
第一次質問紙調査の結果から居宅介護の効果を促進すると予測するホームヘルパーによる協働的支援の実践の詳細な質問紙調査および質的調査を実施し,援助技術の効果的要素とその評価視点を明確化する予定である。質問紙調査については,協力可能なところを第一次調査で把握し,研究対象ということだけではなく協働的,アクションリサーチ的に研究をすすめ,現場の声を重視して推進していく計画である。
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