25年度も研究計画通り、文献研究により組織論や支援論の知見を摂取することに努めた。その結果、障害者団体の支援が制度の圧力に規定されながらも、単に制度のままの非主体的な支援をするのではなく、主体的に戦略的な対応をするという理論枠組みを採用することにした。この理論枠組みを念頭に置いて、研究協力団体のフィールドワークを行い、資料やデータを収集していった。それらを整理、検討していく中で、具体的な戦略的対応として次のようなものがあることがわかった。すなわち、①制度を代替する、②制度を操作する、③制度を転用する、④制度を補填する、の四つである。このことから、やはり障害者団体は制度に規定された支援だけを行うのではないことが明らかとなった。また、その具体的な対応についても記述することができた。これまでの研究においては、制度と支援を関連づけて分析したものはあまり見当たらないので、このような分析アプローチをとったことに意義があるうえに、新たな知見を得ることができたことも、これからの研究に照らし合わせてみれば、重要性のあることだといえるであろう。これをもとにして、ある程度まとめを行ったものを研究会で報告をしている。ただし、障害者団体がなぜこのような戦略的対応をするのかについてまでは分析できなかった。おそらくは組織目的と組織アイデンティティという観点から分析していくことで、ある程度の知見が得られるものと考えている。これらのこを踏まえて、26年度の取り組みに生かしていきたいと考えている。
|