研究課題/領域番号 |
24530714
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研究機関 | 山口県立大学 |
研究代表者 |
後藤 みゆき 山口県立大学, 看護栄養学部, 講師 (30547972)
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キーワード | 終末期がん患者 / 家族介護者 / インフォーマル・サポート / レスパイト・ケア |
研究概要 |
I.家族介護者(遺族)を対象とした調査 1.具体的内容:調査対象として数名の遺族が考えられたが、いずれも患者の死後僅かであることから、インタビュー調査は実施できなかった。しかし、実際に在宅ケアを行っている事例に介入できた為、これらの事例を基に家族介護者が求める支援を考察した。介護力に欠ける状況で患者の介護に24時間縛られる生活を送っていることから、家族介護者は介護疲れに対する支援と心理的支援を求めていた。とりわけ家族介護者が必要としたのは心理的支援である。しかし、訪問看護師や介護支援専門員等はこれらの支援を提供できておらず、専門職(フォーマル・サービス)に代わって家族介護者を支援したのはボランティアであった。 2.意義・重要性:フォーマル・サービスによる支援は、利用要件やサービス提供時間が限られる等から患者ケアに偏重していた。専門職による家族介護者支援は不十分であり、ボランティアによるインフォーマル・サポートの重要性が示唆された。 II.ボランティアを対象とした調査 1.具体的内容:在宅終末期がん患者と家族介護者を支援する地域住民ボランティアを対象にインタビューを行った。インタビュー内容は、ボランティア活動に参加した契機、家族介護者支援において留意する点、家族介護者の介護負担の状況等である。ボランティアによるインフォーマルな支援はフォーマル・サービスと違い、家族介護者にも焦点を当てた支援を展開しており、介護疲れと心理的への支援に重点が置かれていた。特に悲嘆ケアは功を奏していると思われた。しかし効果的な活動が行えるのは一部のボランティアに限定されるため、今後は十分なボランティア研修を行う必要があると思われた。 2.意義・重要性:ボランティアによる支援は家族介護者が求める支援とほぼ一致していた。また、フォーマル・サービスで不足する支援を担うことからも、重要な家族介護者支援と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究計画書を立案した段階では、平成25年度には家族介護者(遺族)を対象にした調査を基に、インフォーマル・レスパイトケアを内包した家族介護者支援の為のアセスメント・ツールを作成する予定であった。しかしながら、“遺族”という非常に難しいインフォーマントの獲得に難渋したことから現状や課題の把握が遅れ、アセスメント・ツールは未だ制作途中である。 現在も一つの事例に介入しているため、この事例も参考にしながら早急にアセスメント・ツールを作成する予定である。 ボランティアを対象とした調査は終了しており、インフォーマル・サポートは、在宅終末期がん患者の家族介護者支援において重要な支援となることが明らかになった。 以上、特にアセスメント・ツールの作成が遅れていることから、研究が順調に進んでいるとは言い難い。
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今後の研究の推進方策 |
1.インフォーマル・レスパイトケアを内包した家族介護者支援の為のアセスメント・ツールの作成 : 介入した事例を基に早急に作成する予定である。 2.アセスメント・ツール妥当性の検証 : 実際の事例を用いてアセスメント・ツールのプレ・テストを行う。この検証は基本的に過去の事例を用いるが、可能であれば実際に在宅ケアを行っている事例も取り上げる。 3.アセスメント・ツールを用いた事例の検討 : 基本的に実際に在宅ケアを行っている事例を取り上げる。事例は訪問看護ステーションやボランティア団体に依頼する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成26年度への繰り越し研究費の発生理由 本研究では家族介護者を対象とした調査において、インフォーマントの獲得が難しかった。そこで実際の事例に介入して研究を続けた為、謝金やテープ起こし等にかかる費用がほとんど発生しなかった。これらが当該研究費が発生した主な理由である。 次年度研究費の使用計画 ①アセスメント・ツール妥当性の検証およびアセスメント・ツールを用いた事例の検討:旅費:広島への旅費(17回:255000円)、訪問看護ステーション謝金(10回:100000円:1回10000円の研修費として規定)テープ起こし(150000円)②学会旅費:社会福祉学会(東京:90000円)、日本死の臨床研究会(別府:40000円)③その他:印刷費等(10000円)文献購入(10000円)
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