研究課題/領域番号 |
24530717
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
田中 きよむ 高知県立大学, 社会福祉学部, 教授 (00253328)
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研究分担者 |
水谷 利亮 下関市立大学, 経済学部, 教授 (00310897)
玉里 恵美子 高知大学, その他の研究科, 准教授 (40268165)
霜田 博史 高知大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (50437703)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 限界集落 / 孤立化 / 生活課題 / 地域づくり |
研究概要 |
これまでの応募者の基盤研究C(平成20~22年度)によって、限界集落の高齢者の生活課題の多面性が明らかになったが、今回の研究(平成24~26年度)の初年度においては、その背景となる地域的孤立化と住民個人の孤立化がどのように関連して表れるかを明らかにするとともに、次年度に向けて、それらの孤立化を防止するための支援システムの方向性を理論化してゆくための事例分析を進めた。 地域的孤立化としては、第一に、新潟、岩手、宮城の被災地調査によって明らかになったように、地震による地域の空洞化現象が起こり、自然、産業、交通、文化、住環境が崩壊の危機に直面する形で表れる場合がある。また、第二に、高知の限界集落調査によって明らかになったように、災害とは無関係に、農業中心の伝統型産業の衰退とそれに代替する主要経済資源が見出せないなかで雇用が行き詰まり、人口の社会減に伴い少数世帯集落から消滅集落へ移行してゆく場合がある。第三に、広島の地域調査によって明らかになったように、災害による地区全体の物理的被害と長期的な経済衰退および少子高齢化、過疎化が重なり合いながら、交通手段や店舗、ガソリンスタンド等が撤退する形で地域孤立化に直面する場合が考えられる。 個人的孤立化は、第一の場合、とくに高齢者の場合、避難所や仮設住居、復興住宅などで新たな近隣関係を構築しえない個人・世帯として表出し、第二の場合、移動能力の低下、子どもとの物理的疎遠化、共同生活機能の低下のもとで、とくに高齢者の場合、共同活動やコミュニケーションが困難になる状況として表出する。第三の場合、それらの両要因が重なり、生活の主要手段を喪失する過程が早まる形で個人的孤立化が表出する。 そのような二重の孤立構造の下でも、地域消滅に対する住民の危機意識が動力源となって主体的な地域づくりが再強化される可能性を事例を通じて明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
限界集落調査に基づく分析を進めつつ、共同研究者個別の部分的な業績化はおこなったが、今年度の研究成果全体の総括的な研究報告書の作成および論文作成には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
限界集落における孤立化の構造を分析して総括的な報告書の作成および論文作成を進めるとともに、平成25年度の研究課題として、すでに平成24年度から着手している孤立化防止に向けた支援システムの事例分析を進め、理論化を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究成果について、研究成果全体の総括的な研究報告書の作成に至らなかったため、その印刷費用を使用できなかったが、平成25年度前半期に報告書を作成し、印刷費用として使用する予定である。
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