研究課題/領域番号 |
24530718
|
研究機関 | 日本社会事業大学 |
研究代表者 |
小田 美季 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 准教授 (90308693)
|
キーワード | 社会福祉関係 / 障害者福祉 / 障害者雇用 |
研究概要 |
本研究の目的は、障害者のソーシャル・インクルージョンを促進する一環として、ネットワークとライフステージの観点から、日本における障害者雇用の創出や就労支援システムの改善への提言を行うことにある。その際、障害者雇用の段階だけではなく、雇用継続の取組みについても目を向けている。 この目的を達成するために、平成25年度は日本とドイツで次のフィールドワークを実施した。まず日本では、2回にわたりX県Y市の障害者雇用や就労支援に関係する障害福祉サービス事業所(就労移行支援事業所・就労継続支援事業所)、NPO法人、社会的企業、学校教育機関で訪問調査を行った。訪問先は平成24年度にも既に訪問したところであり、事業内容の補充だけではなく、その地域でなぜ連携がスムーズに行なわれているのかという点にも焦点をあてながらインタビューを実施した。さらにドイツでは、Z州におけるソーシャル・ファーム(社会的企業)への取組みや障害者雇用促進を担当している行政機関関係者、専門職へのインタビューを実施するとともにソーシャル・ファームの訪問や福祉団体の就労支援担当者との話し合いも行った。 以上のフィールドワークだけではなく、文献研究を通じた研究地域の分析(歴史的観点も含む)や法的枠組みなどの理解の深化も図った。このことを踏まえ、特にドイツの状況に関しての研究成果の一部を学術論文及び日本社会福祉学会2013年度関東部会研究集会での発表を通じて公表した。その過程で、障害者権利条約の影響についても検討する必要が認識された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本に関しては、平成25年度に当初予定していた調査に変更が必要であった。その理由としては、研究代表者の所属先変更により、遠方になった平成24年度までの地域ネットワークに関する研究協力先との関係継続に最大限の力を注いだ点にある。結果として、関係継続だけではなく、深化(研究者としての客観性を保ちつつも)が図れた点は評価できる。平成25年度に実施を保留した関東圏での調査については、平成26年度に補う必要がある。 ドイツに関しては、平成24年度に見送ったソーシャル・ファームに関する現地関係者の確認作業ができた。さらに、予定以上に現地の行政関係者、現場の専門職との関係が広がり、今後の研究協力も承諾を得られ、研究の発展が可能になった。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度は最終年度にあたるので、平成24年度と平成25年度に実施してきたX県Y市に関しては、追跡調査だけではなく、裏付けとして文献資料の更なる収集・分析を行い、ライフステージの観点とネットワーク・連携の観点から考察を実施する。さらに、平成25年度に実施を保留した関東圏での調査も行う。 国外に関しては、まずドイツの今までの調査の整理・分析を行いつつ、必要ならば問い合わせを行うなどの補充をする。加えて、平成22年度の科研費交付により実施したオーストリアでの障害者雇用の現状に関する調査の追跡調査も研究計画に基づき行う。 以上の結果と平成24年度・25年度の調査結果をライフステージとネットワークの観点から考察し、障害者雇用創出・継続の方策を取りまとめ、成果の発表を学術論文等で行う。
|