研究課題/領域番号 |
24530720
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研究機関 | 東北福祉大学 |
研究代表者 |
赤塚 俊治 東北福祉大学, 総合福祉学部, 教授 (40285656)
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研究分担者 |
後藤 美恵子 東北福祉大学, 総合福祉学部, 講師 (50347902)
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キーワード | ベトナム / 社会福祉 / 高齢者 / ソーシャル・サポート / 地域格差 / 貧困 / 健康 / 専門職 |
研究概要 |
(1)関係機関で社会福祉政策および高齢者支援に閲する関係資料や統計の収集を行った。これらの資料等から高齢者の人口動態の基本的理解と社会的支援の分析を行い、実証研究の対象地域であるラ・ジ町人民委員会およびベトナム赤十字社ラ・ジ町支部の関係者と研究活動に関して具体的な打合せを実施した。とくに、農村部での社会資源開発や高齢者支援のための方法、社会福祉分野で働く専門職員の人材育成・養成についても話し合いを行った。さらには、農村部で生活している高齢者単身世帯に対する支援体制を強化するために現在の社会資源を最大限活用するためにはどのような活用方法があるかを検討を行った。その際に過去に実施した調査研究成果を踏まえて、現在の高齢者支援施策の実態を明らかにし、あらためて今後の高齢者問題の分析・考察を行った。その基礎資料は平成24年度に実施したホーチミン市とラ・ジ町で60歳以上を対象にした研究成果である。その中でもソーシヤル・サポートシステムの分析・考察をした研究成果を学会において研究発表および研究誌に論文を拙稿した。 (2)ソーシャル・サポポートシステムの効果を具体化すために7日間にわたって実証研究を実施した。その結果、参加者した高齢者や関係機関の職員からは高い評価を受ける結果となった。また、高齢者支援の方法としてソーシャル・サポートシステムを具体的な展開を実施したことによって社会資源として方法論としての重要性が認知されたことは大きい。なお、本研究は外国人はもとよりベトナム人も含めて、私たちがはじめてソーシャル・サポートシステムの実証研究を農村部ラ・ジ町で高齢者を対象に実施したことは、今後の研究活動の正当性も含めてわが国とベトナムとの国際協力関係においても、大変、有意義な研究成果を残すことが出来たと考えている。また、今後の活動においても研究内容の質的発展につながる実績になったと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)研究の目的として、①ベトナムの高齢者福祉研究は、過去の研究成果を踏まえ、ソーシャル・サポートシステムおよび人材育成・養成の実証研究を実施する。高齢者施設および地域で生活している高齢者への専門的支援をする介護専門職は都市部・農村部において重要な役割を果たすと過去の研究成果から質的向上を目指すための実証研究を実施する。③ベトナムにおける専門教育制度の確立と重要性について示唆する。以上の目的を踏まえて平成25年度の研究活動を行ったが、残された研究課題も数多くある。 (2)研究実績の概要にも記載しているが、平成25年度の当初計画は、おおむね順調に計画が進展したと総括している。とくに、今回の高齢者ソーシャル・サポート実証研究では、農村部のラ・ジ町人民委員会およびベトナム赤十字社から全面的なご支援とご協力を得て実施することができたとは、結果的に当初計画していた研究成果を進展させることにつながり、次年度の研究活動計画を展開させるための大きな研究実績となった。 (3)平成25年度に計画していた介護福祉専門員(仮称)に求められる人材育成・養成における研修プログラムの作成と研修効果を検証する為の研究活動を高齢者福祉施設で働く介護職員に質問調査を実施することができなかったことは、最終年度に残された研究課題である。こうした課題を残しながらも本年度の研究活動から得た成果は、あらためて今後の研究計画を見直す機会になった。
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今後の研究の推進方策 |
(1)平成26年度は、最終年度であること考慮しながら、平成24年度、平成25年度の研究活動から得られた研究成果および効果をさらに質的な研究成果を得られるように、継続的な実証検証を工夫しながら、研究方法をさらに科学的に高められる手法をもって研究活動を実施する。そのためには各関係機関の全面的支援を受けながら高齢者ソーシャル・サポートの実証研究として継続研究活動を実施する。 (2)高齢者の生活問題の所在を明確化し、高齢者に対するソーシャル・サポートシステムの具現化のための分析と実証的検証および高齢者の生活問題の発生要因の仮説設定を積極的に実施する。 (3(1)(2))を踏まえて研究成果を基にしながら介護福祉専門職員の人材育成・養成を前提とした研修会を実施したいと考えている。その研修会から研修効果の測定及び要因分析を行うことにする。そこではベトナムの文化に照らし合わせた調査票を作成し、実施することに注意を払うことにする。 (4)上記の研究成果が今後の社会福祉分野においてソーシヤル・サポートシステムの重要な方法の一つであるとの認識を専門職員に少しでも高めることを目指して研究活動に励みたいと思っている。その結果として、ソーシヤル・サポートセンター(仮称)が各地に設置されることを願いたいと思っている。その為には平成25年度に得られた研究成果をさらに質的向上となる研究活動になるように、あらためてこれまでの研究成果を精査しながら、高齢者の生活問題や健康問題が解決するための実証研究として、研究対象地域であるラ・ジ町の民家を借用して実証的研究を実施する。その研究活動で得られた研究成果は必ずベトナム国内の高齢者福祉対策に反映されるように推進したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
最大の理由には、「物品費」として購入する予定であったSPSS、プリンター、ノートパソコンを購入することを取りやめたことである。 (1)平成25年度に「物品費」として、購入する予定であったSPSS、プリンターおよびノートパソコンを購入は、最終年度では研究成果をまとめる年度であるとの認識から平成26 年度に購入することにした。(2)旅費はベトナムの渡航代と国内(東京)出張費などに充てる予定である。(3)「人件費・謝金」は、実証的研究を実施するための「ソーシヤル・サポートセンター」(仮称)を設置するために借用する民家の代金および調査を実施するために謝金も含めて諸経費に使用する。(4「その他」は郵便ト代、電話代および文具代などの事務用品の購入を予定している。(5)突発的な費用については、科研のルールに従って柔軟に対応するようにする。
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