研究実績の概要 |
1.研究の目的:東日本大震災は首都圏・大都市圏からは遠隔地での災害であり、被災地への移動費用や時間費用が大きい。そこで本研究では、遠隔地からのボランティアに対してどのような支援が適切であるのか検討することを、目的とした。便益に対する費用に着目し、①ボランティアのコスト意識と活動意向の関連を分析した。またとくに、②参加費用の負担が制約となりがちな学生・学校のボランティア団体を取り上げ、主体的な参画を可能にする条件を明かにすることを課題とした。さらに、③震災・復興ボランティアの支援金受給団体のデータベースを充実させる作業を、引き続き行うこととした。
2.研究の方法:目的①については、助成期間の1年次に埼玉県飯能市で行った防災訓練参加者調査のデータを、目的②については、1年次後半から作成を開始した中央共同募金会のホームページからの「災害ボランティア・NPO活動サポート募金」の受給団体データベースを使用した。また、目的③では、中央共同募金会からの支援金を受給しているNPO法人について、内閣府ホームページの「NPO法人ポータルサイト」の情報を追加することとした。
3.研究の成果:目的①については、ボランティア活動の種類や期間、補助金の有無などのいくつかの条件を提示した仮想質問により、活動意向の強さを分析した結果、活動期間の長短よりも補助金の規定力が大きいことが示唆された。目的②については、中央共同募金会の支援金(2011年4月~2014年5月募集分)の受給団体2,676のうち、学校・学生団体89について、活動の内容、期間・日数、活動者の構成・人数などを明らかにした。さらに2つの次元(Ⅰ.学生主導-Ⅱ.学校主導、A.参画-B.参加)を設定して団体を4分類し、各類型の規定要因を分析した。目的③については、NPO法人の「活動計算書」及び「財務諸表の注記」を追加し、データベースを更新した。
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