研究課題/領域番号 |
24530725
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
桜井 昭男 淑徳大学, その他部局等, その他 (60619667)
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研究分担者 |
古宇田 亮修 淑徳大学, その他部局等, 研究員 (80445147)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 文書管理 |
研究概要 |
本研究は、社会福祉施設の文書等がこれまでどのように保管されてきたのかを明らかにし、さらに今後どのように管理・保存していけばよいのかを検討することを目的としているが、まず社会福祉施設が所蔵する文書のパターンを把握するため、平成24年度は東京都板橋区に所在する児童養護施設マハヤナ学園撫子園を事例として、その所蔵文書の全体像を把握する作業を行った。平成24年5月~6月にマハヤナ学園撫子園側と調査の打ち合わせを行い、実質的な目録作成作業は同年7月~9月に実施した。この時に作成した目録には手書きのものもあるため、平成25年1月に目録のパソコンへの入力作業を委託した。また、マハヤナ学園撫子園所蔵文書のうち、重要と思われる文書のうち3,250コマ分についてデジタル化の作業を行った。今後これらのデータに平成22年度に淑徳大学アーカイブズが作成した同園の文書目録を統合させ、検討を加えることによって、社会福祉施設が所蔵する文書のパターンを把握することが可能となる。 次に、平成24年度に予定していた全国の社会福祉施設への文書管理に関するアンケート調査については、同年6月から質問項目の検討作業を始め、翌平成25年1月25日に全国の782施設にアンケート用紙を送付した。その結果169施設から回答をいただき、集計作業を行った(回答率21.6%)。このアンケートの結果を分析することによって、現在における社会福祉施設の文書管理の現状や問題点を明らかにすることができる。 以上の研究活動を実施し、また実施するための打ち合わせのため、平成24年5月から12月までに計12回の研究連絡会を開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
児童養護施設マハヤナ学園撫子園の文書の調査については、平成22年度に淑徳大学アーカイブズによる文書調査の追加調査を行っているが、今回は現用文書も含めてひとまず撫子園全体の文書の調査を終了し、目録のデータ化を終了することができた。しかし、調査の結果思いのほか文書の量が多く、淑徳大学アーカイブズ作成の文書目録と、今回の作業で作成した文書目録の統合作業はまだ完全には終了するまでには至らず、現在も継続的に作業を行っているところである。 また、重要と思われる文書のデジタル化作業については、平成24年度は3,250コマの撮影にとどまり、必要と思われる文書を全部デジタル化することができなかった。これらは全体のおよそ7割程度の量であり、残りについては平成25年度にデジタル化作業を行う必要がある。 次に社会福祉施設の文書管理に関するアンケートについては、アンケートの集計作業をひとまず終わらせており、ほぼ予定通りの進捗状況である。平成25年度は具体的な分析作業を行っていく。 以上のように、マハヤナ学園撫子園の文書調査については、思いのほか文書の量が多かったこと等からなお作業は継続中であるが、作業終了の目途はつきつつあり、文書のデジタル化作業も3割程度を残しているという状況である。また、アンケートの集計作業は終了していることを考えると、平成24年度の研究の達成度は「やや遅れている」というのが適当と考える。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実施計画」では、平成25年度はマハヤナ学園撫子園の事例を相対化するために、同じく児童養護施設である錦華学院(東京都練馬区)と成田学園(千葉県成田市)の文書整理と目録作成作業を実施し、また前年度のアンケート調査の集計作業を行うことになっている。 このうちアンケートの集計作業については、前年度で集計作業を終えているので、今年度は具体的な分析作業を行っていく。 次に、今年度の社会福祉施設の文書調査についてであるが、まだ前年度のマハヤナ学園撫子園の目録作成作業が終了していないことや、調査の過程で撫子園の職員等を対象に、文書管理に関するこれまでの経緯や現在の問題点、今後の意向等について、全国的なアンケート調査の結果を踏まえた聞き取り調査を行うことが重要であるとの認識にいたったことから、錦華学院と成田学園については現地調査ではなく、過去に淑徳大学長谷川仏教文化研究所で撮影・目録化した文書との比較対照分析にとどめ、今年度はマハヤナ学園撫子園の調査の充実を優先させることとする。 具体的には淑徳大学アーカイブズの調査による目録と今回作成の目録の統合作業を終えるとともに、それをもとにして社会福祉施設文書の分類項目を作成することをめざす。また、重要な文書のデジタル化も作業をすすめ、マハヤナ学園における文書管理の現状と課題をあきらかにするための聞き取り調査を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費については、165,890円の次年度繰越金が生じた。この理由としては、アンケートを送付する社会福祉施設をおおよそ2000施設程度と見積もっていたのが、実際には782施設にとどまったことがあげられる。この分マハヤナ学園撫子園所蔵文書のデジタル化作業に充てることも可能であったが、撮影文書の区切りの問題もあり、結果的にそれらの経費は次年度に繰り越すこととなった。このため、平成25年度はマハヤナ学園撫子園所蔵文書のデジタル化作業を進めることが大きな目標の一つとなる。 また、次年度はマハヤナ学園撫子園の調査をさらに充実するために聞き取り調査なども新たに行う予定であるが、そのためのボイスレコーダーなどの購入や、内容の活字起こしといった作業の費用も必要になってくる。 アンケートの分析作業にかかわるものとしては、分析の必要に応じてアンケート先の施設に対する追加調査を行うこともあるため、その費用についても準備しておく必要がある。
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