研究課題/領域番号 |
24530727
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研究機関 | 聖徳大学 |
研究代表者 |
渡邉 敏惠 (楠永 敏惠) 聖徳大学, 心理・福祉学部, 准教授 (90363788)
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研究分担者 |
高尾 公矢 聖徳大学, 心理・福祉学部, 教授 (50167483)
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キーワード | 失語症 / 社会参加 / 拡大・代替コミュニケーション |
研究概要 |
重度失語症者は、言語能力とともに社会的役割を失い、閉じこもりになるおそれが高いとされている。重度失語症者が社会参加するためには、実状に合わせた有効な援助を行うことと、社会の理解が必要である。本研究は、失語症者が用いる拡大・代替コミュニケーション(AAC)の検討を通じて、重度失語症者の視点に立った新しい社会参加のあり方を促進することと、重度失語症者に対する社会的な理解が深まることをめざしている。 平成25年度は、重度失語症者を含めた失語症者の社会参加の実態について、既存の文献の検討を深め、論文化のための分析を進めた。さらに、重度失語症者のAACの利用ならびに社会参加の実態調査に向けて、調査対象団体と交渉し、調査項目の確定や分析方法の検討などを行った。 失語症者の社会参加に関する既存研究を分析した結果、成功事例も含めて幅広い報告がされていた。実態調査については、失語症者本人の社会参加の実態の把握は十分ではなく、特に重度の失語症者がどの程度社会参加できているのか明確ではない。社会参加の援助においては、失語症者に対して言語聴覚士などのリハビリテーションスタッフがかかわることが多いが、言語訓練にとどまり、社会参加の支援までは至りにくいことが指摘されていた。また、失語症会話パートナーの育成や患者団体による活動などの支援はあるが、失語症者本人の要望の捉えにくさなどの課題があげられていた。平成26年度は、これらの結果を踏まえて、重度失語症者の社会参加の実態調査を行い、当事者の視点に立った社会参加のかたちを考察していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査対象者との調整が予定よりも遅れ、平成25年度に実施予定であった重度失語症者の実態調査が行えていないため、平成26年度に実施する。また、既存研究のレビューをまとめて学会発表を行う準備をしていたが、公務と調整がつかず、発表ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は重度失語症者の社会参加の実態調査を実施し、有効な拡大・代替コミュニケーションの利用について検討する。また、重度失語症者を対象にして、社会参加の介入研究を行う。これまでの成果をまとめ、学会発表と論文の投稿を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
実態調査を行う予定であったが、平成26年度に繰り越すこととなったため、予定額と使用額に差が生じた。 平成26年度は、社会参加の実態調査、AAC機器の購入と介入研究、それらの分析を行うため、予定額を使用する見込みである。
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