研究課題/領域番号 |
24530733
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研究機関 | 日本社会事業大学 |
研究代表者 |
佐々木 由恵 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (60406262)
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キーワード | 医療的ケア / 認知スキーム / 連携 / 安全 |
研究概要 |
介護職の業務に、医療的ケアが組み込まれ、利用者の安全な生活のためにも介護職と看護職間のよりよい連携はますます重要なキーワードとなってきている。介護職が医療的ケアを実践する際に、「医療依存度の高い在宅要介護者を対象とした多機能サービスに関する調査研究」から、介護職の不安は、①医療職との意思疎通やコミュニケーションの難しさ②医療的ケアに対する絶対的な知識不足③介護職間のキャリアパスが多様であり介護職間においても知識やスキルの差が大きいこと④介護過誤とそれに伴うクレームや責任追及への恐怖が主たる不安要であることが確認できた。 本研究では、連携の土台となる、介護職自身や、介護職と看護職の思考プロセスの特徴を明らかにし、さらに、介護職が安全で不安の少ない実践を行うために、どのような教育内容と質を保証するための管理方法を見出すことができるかをを主目的としている。 研究の目的を達成するために、独自に開発した映像を用い、その場面をどのように捉え、どのような行動を起こすか、なぜそのように行動をするのかという思考を検証している。研究で必要な認知スキームシートの開発、認知スキームシートを用いての実験は予定通り進行している。研修会を通じて、①自己の思考スキームの意図的な把握 ②異なる思考スキームの比較対照 ③思考スキームの違いによる行動の異差 ④思考スキームの違いをとらえての現場改善方法等を検証することができた。 研究目的達成のために、ワークショップ形式によるさらなるデータの蓄積と分析により、介護・医療職間連携の基盤となる認知スキームの特徴を明らかにし、介護職に対する医療的ケアの教育方法と管理手法の視点を明確化する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究2年目に研究目的は90%達成できた。最大の成果は、介護職・看護職それぞれが、認知スキームシートを用いてのワークショップで、自身の思考スキームの特徴、他者及び他職種の思考スキームを捉えることで、その違いに気づき、互いの専門性を尊重しながら、安全なサービスを提供するためにどうのようなコミュニケーションが必要であるかを認識し学びあえた点にある。
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今後の研究の推進方策 |
研究方針の変更はない。 ワークショップの開催を増やし、データの蓄積と分析を推進する。また、得られたデータを基に、学会や雑誌に投稿する機会を一層増やし、介護職が安全で不安の少ない 医療的ケアを提供できるように研究成果を周知していきたい。また、研修にも力点を置いていく方針である。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費として支出する予定であったが、当事者がインフルエンザにかかり、急遽キャンセルになったため繰越金が発生することとなった。 研修の被験者を増やす費用にあてる。
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