研究課題/領域番号 |
24530735
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
林 浩康 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (70254571)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ファミリーグループ・カンファレンス / 児童虐待 / 意思決定過程 / 当事者参画 |
研究実績の概要 |
神奈川県の児童相談所の協力を得て、虐待問題を抱える3家族の方に対し、専門職とご家族が一堂に会し今後の援助計画を作成するミーティング(合同ミーティング)に参加された印象や感想を中心とした意識を明らかにすることを目的としてインタビュー調査を行い、分析を行った。結果によると、当初児童相談所の介入に疑問をもち戸惑ったが、ミーティングを重ねるに従い、職員と信頼関係ができ、協力姿勢を持つことができるようになったと述べている。職員による介入により状況を直視し、未来志向で今後どうすればいいか家族一同で考えることができるようになり、前向きに取り組むことができたとしている。ただ、長期的なビジョンが見いだせず、明確な期限と行うべきことが不明確で苛立ちを感じることもあげられた。意思決定過程に当事者家族の意向や思いをいかに反映させるかは大きな課題であり、合同ミーティングの意義が再確認できた。 またアメリカワシントン州における児童福祉施策の動向について現地のソーシャルワーカーへのインタビューや文献等を通して明らかにした。その上で子ども虐待援助過程における当事者参画のあり方について学ぶことができた。ワシントン州では「Family Team Decision Making」と呼ばれる会議が基本的に実施され、それが親族里親への委託を促している。それに関与するコーディネーターやアドボケイトの活動などについて理解できた。 さらに神奈川県の児童相談所職員とともに、日本型当事者参画実践に関する模擬DVDを作成した。児童相談所職員の方にシナリオ作成をお願いし、配役を決め、撮影を行った。以前作成したDVDをより洗練させ、新宿スタジオから発売される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内外研究ともに、計画通り着手でき、データの入手および分析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
児童相談処により介入を受けた家族へのインタビューを継続して行い、当事者参画型の実践評価や課題を明らかにする。また対立関係や児童相談所への不信感がどういった契機で転換したかについても明らかにし、意思決定支援のあり方について提言を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費や謝礼金および物品費が予定を下回り残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度、インタビュー録の整理や物品の購入に充当する予定である。
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