研究課題/領域番号 |
24530739
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
中野 敏子 明治学院大学, 社会学部, 教授 (20198162)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ソーシャルワーク / 社会福祉援助技術 / 障害者福祉 / 相談支援 |
研究概要 |
①先行文献・資料収集と分析を通して、1950年代から2000年の利用契約に至る制度上の「相談機能」の変化を知的障害分野に焦点を当て把握し、「相談」実践の「継承と転換」の鍵となる要素を明らかにする作業を行った。インタビュー調査の分析にあたり、背景となる情報として有意義な作業となった。なお、措置時代に絞るよりも、措置から利用契約制度への転換がなされ、相談支援事業が位置づけられた障害者自立支援法制定時(2005)前後の先行文献の分析によって、実践の継承と転換の検討にあたって論点の示唆を得た。成果は論文としてまとめた(中野敏子「戦後障害者福祉における『相談支援』の形成過程分析ー論点と展望ー」明治学院大学 社会学・社会福祉学研究 140,2013,179-196)。 ②知的障害分野の相談業務に携わった経験者へのインタビュー調査を実施(平成24年8月から25年3月、北海道3名、埼玉県1名、新潟県3名、熊本県3名)した。調査協力者は、①の分析過程で明らかになった「相談機能」を担ったきた福祉事務所、障害者更生相談所、施設に付随する相談機能を持つ部署に関わった人物について、研究代表者がこれまで実施した調査への協力相談支援事業者を手掛かりに、スノーボール方式で選定した。 ③研究代表者らがこれまで行ってきた相談業務担当者のインタビュー調査から得られた分析枠組みを踏まえ、今年度実施のインタビュー調査結果の質的分析を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①障害者福祉制度の変化とそれに連動する「相談支援」実践の把握については、先行研究・資料の分析を通して、相談機能の制度としての形成動向の把握が進んでいる。制度の具体的運用場面である実践過程については、相談業務担当経験者へのインタビュー調査によってデータの収集が進展しており、今後の分析過程で明らかになる見通しを得られている。 ②「相談支援」の実践の継承と転換の検討にあたっては、措置制度から利用契約制度の変化の時期をめぐる先行研究の分析と考察から、検討に際しての論点を導き出すことができている。成果を論文としてまとめることができている。とくに、インタビュー調査への協力者が順調に得られており、インタビュー調査内容の質的分析からさらに吟味を深めていく手がかりが得られると考える。 ③「相談」に障害がどのように認識されてきたかについても、先行研究文献・資料の分析と考察、またインタビュー調査内容の分析からその特徴が炙り出されてきている。
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今後の研究の推進方策 |
①引き続き、先行文献・資料収集と分析を通して、1950年代から2000年の利用契約に至る制度上の「相談機能」の変化を知的障害分野に焦点を当て把握し、「相談」実践の「継承と転換」の鍵となる要素を明らかにする作業を進めていく。 ②インタビュー調査によるデータを補強するべく、兵庫・大阪(3名)で相談業務担当経験者へのインタビュー調査を実施する。なお相談支援に関わる当事者である障害のある本人、および家族から「相談支援」に関するインタビュー調査をし、当事者の視点からデータの強化を図りたい。そのため、すでに相談業務担当者インタビューの協力を得た地域から調査協力者をスのボール方式で選定、依頼し実施する(北海道、神奈川、埼玉にて4名の予定)。当事者へのインタビュー調査にあたっては、これまでの研究倫理への対応を順守することはもちろんのであるが、とくに個人情報保護等研究倫理への配慮を留意し行う。インタビュー調査から得られたデータについて質的分析法によって分析、考察を深める。実践過程で「障害」がどのように認識されたかの分析についても分析・考察を深めていく。 ③研究の成果への第三者の意見を反映すべく、日本社会福祉学会第61回秋季全国大会(北海道 北星大学にて開催)で、研究成果の第一次報告としてポスター発表を行う。そのために、研究会を密に開催し、検討準備を進めるとともに、報告後は得られた意見等を踏まえて研究の推進方策の評価、修正を行う。 ④インタビュー調査の分析から明らかになった要素の検討を補強すべく、資料・文献の収集をはかり、分析・考察を深めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
①相談支援経験者インタビュー調査(兵庫、大阪)および、相談支援利用者である当事者インタビュー調査(北海道、神奈川、埼玉)のための、研究代表者及び研究協力者の旅費及び謝金 ②日本社会福祉学会報告のための研究代表者および研究協力者旅費 ③相談支援経験者インタビュー調査(兵庫、大阪)および、相談支援利用者である当事者インタビュー調査(北海道、神奈川、埼玉)のためのリライト費用およびデータ分析補助作業のための謝金 ④研究会での分析・考察のための関連資料のコピーおよび資料・文献収集の費用 ⑤資料・文献収集のためのアルバイト費用、研究資料の管理・整理、および研究会に関する事務処理を担当するアルバイト費用
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