本研究は、在宅認知症高齢者が生活者としてその人らしい生活を実現するための居住環境整備に関する研究であり、物理的な環境整備(ハード面)と人の関わりやサービスなど人的支援(ソフト面)が連動した居住環境整備を明らかにすることを目的とした。本研究では、住宅改修や支援機器の活用といった居住環境整備だけでなく、貼り紙や家具の配置の変更など工夫レベルの居住環境整備に着目した。これらの実施状況や効果に関する全国の介護支援専門員に対する郵送調査を行った結果、火事のリスクを低減する直火の出ない暖房機器、安全確保のための整理整頓、物の置き場の工夫、手すりの設置などの実施率が高いことが明らかになった。そして、実施した居住環境整備を活かすための人的支援については、住宅改修時における人的配慮を行った回答者が半数を超え、環境整備を行う際には認知症高齢者本人に立ち会ってもらうなどの具体的な配慮が明らかになった。
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