研究実績の概要 |
リジリエンスによるソーシャルワーク実践法の開発的研究をテーマに行った調査・研究はコミュニティ・リジリエンスの視点から、東日本大震災津波被災地域のフィールド調査、カナダのリジリエンス・研究センターにおけるリジリエンスの研究法のワークショップに参加しリジリエンス概念とそれを構成する要素について認識を深めた。また諸外国の研究者と交流を得ることが出来た。更に外国のコミュニティ・リジリエンス、災害リジリエンスに関する文献レビューを行った。この文献調査と東日本大震災の地域調査からリジリエンス要素を導くことができた。 これにより、子どもや個人に焦点化されていたリジリエンス(adversityに遭遇した際のストレス、逆境、難事の回避・克服/困難からの回復と持続性)研究が地域においても同様に有効であることが分かった。ここからリジリエンス視点によるソーシャルワークの支援対象をミクロからマクロへと広げることが可能になり、同時にその理論的枠組みを構成することが出来る様になった。大きな収穫である。 また、現行の「人と環境のソーシャルワーク」の理論背景を形成した、 von Bertalanffy (1968), Brofenbrenner (1979), Hartman, A. (1978)にLewin, K. (1951)の「場の理論」を補強し社会生態( social ecology )によるソーシャルワークの理論枠組みを作成することが出来る様になった。このため、現在以上に人に働き掛けるソーシャルワークから環境に働き掛けるソーシャルワーク実践法の変容が進むものと思われる。 本年で研究助成期間は終了するが、本研究の成果は2015年度に学術論文として発表を行う予定を組んでいる。また本研究は研究分担者として本年から新たに科研費助成を受けたことから、今後4年、本研究活動を継続する予定である。
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