研究課題/領域番号 |
24530745
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 白梅学園大学 |
研究代表者 |
森山 千賀子 白梅学園大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50341897)
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研究分担者 |
趙 敏廷 岡山県立大学, 保健福祉学部, 講師 (10352585)
谷川 和昭 関西福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (20352578)
曽我 千春 金沢星稜大学, 経済学部, 准教授 (20413239)
森山 治 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (40322870)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高齢者介護の質 / ローカル言語 / グローバル化 / 人材育成策 / 外国人労働 / 日・韓・芬 |
研究概要 |
本研究の目的は、ローカル言語(使用人口が少なく、使用国や地域が限定され、かつその国の国民のほとんどが使用する言葉と規定)を用いる日本・韓国・芬蘭(以下、日韓芬)の介護人材の育成策と就労をめぐる課題の整理を通して、グローバル化時代に求められる高齢者介護の質とローカル言語によるコミュニケーションの課題を明らかにすることである。平成24年度は、関連文献の収集と韓芬の現地調査、日韓芬の介護政策、労働政策、社会保障全般の動向から、介護人材をめぐる制度・政策の現状把握を行った。外国人労働者政策による介護人材の就労をめぐる現状とローカル言語の扱いに関しては、以下の点を把握することができた。 日本では、介護福祉士養成校で教育された外国籍の介護福祉士資格取得者には、就労ビザが発行されないが、経済連携協定(以下、EPA)の締結による介護福祉士候補生が資格取得をした場合には、国内での就労が認められる。また、EPAによる介護福祉士候補者への日本語教育は、訪日前の研修(3ヶ月~6ヶ月)と訪日後6ヶ月研修が行われているが、以降は受入機関等の裁量となり、対応にばらつきが生じている。韓国では、老人長期療養保険下の療養保護士の労働環境が未整備な中、医療機関での看病人(職業付添人)には、言語の障壁が少ない中国朝鮮族労働者が充てられている。韓国保健福祉部のヒヤリングでは、公式な統計資料はないが、2010年に実施されたモデル事業の推計では、療養病院の26.4%が中国朝鮮族出身者を受け入れているとの回答であった。芬蘭は、国策として移民者政策に力を入れ、通常3年~5年の移民者のための準備(適合)教育が行われている。ラヒホイタヤ(介護人材の資格)の成人教育を受けるには、自立した言語使用者(B1)以上の言語力が必要とされる。職業訓練校のヒヤリングでは、女性を中心に移民者には人気のある職業であるとの回答であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、日韓芬の介護政策、労働政策、社会保障全般の動向から、外国人労働者政策による介護人材の就労をめぐる現状とローカル言語の扱いについての現状把握を行った。方法としては、文献検索・分析・整理、韓国と芬蘭への現地ヒヤリング調査を行い、各々の国の相違点を把握することができた。 研究成果としては、分担研究者が数本の執筆、投稿(掲載は平成25年度)を行っているが、研究の初年度ということもあり現状の整理の段階に留まり、学会等への発表は行うことができなかった。 一方、平成25年度に予定していた外国人介護労働者が働く介護施設への視察が、芬蘭では一部行うことができた。また、国内においては在日コリアンと日本人がともに暮らす高齢者施設でのヒヤリング調査の一部を、平成24年度内に実施することができている。そのような点を踏まえると、おおむね順調に進んでいるのではないかと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の4月~9月においては、韓国・芬蘭視察、現地調査の結果を、持ち帰った資料や文献から整理し、分析結果をグループで共有し課題を明らかにする。また、1年目で得られた知見を踏まえ、学会等での研究発表の準備を行う。 国内の在日コリアンと日本人がともに暮らす高齢者施設でのヒヤリング調査を5月までに終え、内容の分析・整理を行う。 2回目の韓国・芬蘭視察にむけて、昨年度の課題、検証できなかった点などを整理し、視察計画、調査内容を検討し、現地と調整する。現段階での視察先としては、公的機関、教育機関、介護施設・機関でのヒヤリングを予定している。 10月~3月においては、秋期に中間報告として、学会等で研究成果を発表する。さらに、韓国・芬蘭視察、現地調査の結果を、持ち帰った資料や文献から整理し、分析結果をグループで共有し課題を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額(B-A)の56,697円は、海外視察の際のテープ起こし代の費用の一部として使用する予定である。 本研究は、国外の文献調査と海外(韓国・芬蘭)視察・現地ヒヤリング調査に多くの研究費を充てている。 平成25年度も、韓国1回6日間、芬蘭1回8日間の現地ヒヤリング調査を行う予定である。また、通訳費用、翻訳費用も含め使用予定額のうちの9割は海外視察・調査関連の費用として使用されることが見込まれる。 したがって、分担研究者との打合せ会議等は、5月までに行う予定である国内でのヒヤリング調査や海外調査などで一同が揃う機会を活用し、経費の節減を図る。あわせて日常的には電子媒体などを活用し、効率的な情報共有をはかり研究を円滑的に進めて行く予定である。
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