児童養護施設ケアワーカーと幼児に対する有効性が示されているプログラムを基に、里親と里子を対象としたアタッチメントに焦点をあてたプログラムを作成し、その有効性の検討を行った。4組の里親と里子を対象にして測度による検討を行った結果、おおむね、里子の問題行動の緩和と里親のストレス軽減などの肯定的な変化が見られた。さらに、里親のプログラムへの内省報告を分析し、里子の問題行動との関連を検討した結果、プログラムの要素とした敏感性の向上が子どものアタッチメントに関連する問題行動の減少に結びつく可能性が示唆された。特に乳幼児期の里子を養育する里親に対しては、敏感性に焦点をあてやすいが、児童期になると里親は問題行動に着目しがちであることが示された。さらに、セラピストに求められる役割として里親へ安心感・安全感を与える存在であることが示唆された。また、実親のような家族構成の中でありながら,実親ではないといった「家族」の課題をどのように里子が受容し、乗り越えていくかといった里子に特異的な課題も示された。加えて、トラウマ症状については、里子支援の場合には被虐待体験やネグレクト体験を把握できにくいため、明確になりにくいことが示唆された。 <意義>里子に特異的な課題、プログラムにおける要素の確認、着目点・留意点やセラピストの役割が示されたことは、より効果的なプログラムの開発につながるとともに、一般的な里親と里子の支援にも役立てることができる。<重要性>里子はアタッチメントに関連する問題行動が多く、里親も関わり方に悩むことも多い。措置変更となることは里親と里子の双方に傷つき体験となることから、それを未然に防ぐためにも本研究の知見は重要である。
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