研究課題/領域番号 |
24530750
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研究機関 | 大谷大学 |
研究代表者 |
脇中 洋 大谷大学, 文学部, 教授 (10319478)
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研究分担者 |
安田 三江子 花園大学, 社会福祉学部, 教授 (90288613)
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キーワード | 触法知的障害者 / 地域生活定着支援 / 更生プログラム / 効果検証 / 自己肯定感 / 自己効力感 / ピアサポート |
研究概要 |
本研究は、触法知的障害者が矯正施設出所後に地域生活定着が促進されることを目的とした更生プログラムの一環として、ピアサポートプログラムを開発・錬成して評価するものである。 2013年度は矯正施設出所後の社会内処遇の実態を把握するために、(1)米国ホノルルの仮出所事務所や女子刑務所、カナダ・ヴィクトリアのハーフウェイ・ハウスを調査し、仮出所者の経歴についてインタビューを行ったり、法務官から聞き取りを行ったりした。また(2)国内では播磨社会復帰促進センターと共同研究協定書を締結し、特化ユニット(障害受刑者専門の工場)で行われたクラウニング講座の効果検証のための予備調査に入った。また(3)地域生活定着支援センターや更生保護施設の調査を行った。 クラウニング講座とは人前で道化師としての振る舞いを発表するもので、週に1回講座を担当する民間のファシリテーターが10名程度の知的障害や発達障害のある受刑者を励まし評価しながら施設内の発表会に向けて4か月にわたって表現力を高めていくもので、コミュニケーションの基盤を醸成し、ほかのプログラムの入門として位置づけられている。だが触法知的障害者にとって他者からポジティブな評価を受けながら自己表現をする経験は乏しく、このようなプログラムは社会復帰に向けたピアサポート活動の一環としてその意義を評価していく意義があると思われる。おそらく触法知的障害者の自己肯定感や自己効力感を高めて、自らの加害経験を見つめて反省悔悟をするとともに、仲間とともに前向きに生きなおす意欲を醸成する効果が予想される。 そこで、これら障害受刑者がクラウニング講座を受けることで、矯正施設における懲役作業を含む生活面にいかなる変化がもたらされたかを本格的に検証する前段階として、刑務官からの聞き取り調査を行った。 共同研究を行う方向で調整することとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画は矯正施設退所後のピアサポートプログラム開発と評価も射程に入れるものであり、その点では出所後の地域定着支援現場における調査や実践的試みに関する研究は調査的なものにとどまり、実践活動においては具体的進展が見られなかった。 また矯正施設内における更生プログラムとして、クラウニング講座の効果検証のための共同研究協定書を締結するところまでこぎつけたものの、そこに至るまでの関係機関調整に予想以上に手間取ってしまった。 それでも本研究の目的に至る具体的実践的な研究の土台作りは達成したということができる。
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今後の研究の推進方策 |
2014年度は社会復帰促進センターにおけるクラウニング講座の振り返りと新たな講座開始に向けた段階から障害受刑者の変化を縦断的に調査して、担当刑務官と連携しながら生活面における講座の効果検証に取り組む。 またこれまで調査してきたホノルルやカナダ・ヴィクトリアのハーフウェイ・ハウス(仮出所者のホーム)を引き続き訪れて、仮出所者の縦断的調査を完結させるとともに、新たな更生プログラムの開発につなげたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
矯正施設との共同研究協定書締結に手間取って、2013年度中の更生プログラム効果検証の本調査に入れずに予備調査にとどまったため。 2014年度前半に矯正施設の更生プログラム内容を文献化するとともに、2014年度後半には効果検証の本調査を実施することで、当初の研究計画の遅れを取り戻す。
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