大阪毎日新聞慈善団を創設した本山彦一や日本生命済生会創設者の弘世助太郎は、社会事業に貢献した企業家では良く知られている。しかし、大阪で社会事業家を支援した実業家は、他にも数多くいる。たとえば中山太陽堂(現・クラブコスメティックス)の中山太一、寿屋(現・サントリー)の鳥井信冶郎、早川金属工業(現・シャープ)の早川徳次、中山製鋼所の中山悦治等である。本研究の主要な成果は、①五代五兵衛が創設した大阪盲唖院の実態、②大大阪期の浄土宗信者を中心とした実業家たちと大阪四恩報答会の関係、③夜学校である徳風・有隣学校を支援した実業家の久保田権四郎・新田長次郎の役割について明らかにできたことであった。
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